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消費増税の軽減税率、逆進性緩和は限定的?導入済みのEU諸国では多くの問題点が露呈

文=永濱利廣/第一生命経済研究所 主席エコノミスト

 なお、今年4月からの消費増税における逆進性対策として低所得者給付が打ち出されている。しかし、これは住民税非課税世帯が対象となっていることに問題がある。なぜなら、所得は少なくても貯蓄の多い世帯にまで給付してしまう可能性があるからである。したがって、逆進性対策として今後も住民税非課税世帯向け給付に頼るのは危険であろう。

 結局、内閣府が公表している経済財政の中長期試算を考えると、消費税率を10%まで上げてもプライマリーバランスの20年度黒字化は困難であり、さらなる消費増税は不可避な状況である。ただ、さらなる消費増税を実施してもコストが低く公平性の高い逆進性対策を併用すれば、その後の消費増税も実施しやすくなるが、逆に逆進性対策をせずに国民の不満を高めてしまうと、その後の消費増税が政治的に困難になる。そういう意味でも、消費増税時の逆進性対策には慎重な対応が必要であると考えられる。
(文=永濱利廣/第一生命経済研究所 主席エコノミスト)

永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

1995年早稲田大学理工学部工業経営学科卒。2005年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。1995年第一生命保険入社。98年日本経済研究センター出向。2000年4月第一生命経済研究所経済調査部。16年4月より現職。総務省消費統計研究会委員、景気循環学会理事、跡見学園女子大学非常勤講師、国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、あしぎん総合研究所客員研究員、あしかが輝き大使、佐野ふるさと特使、NPO法人ふるさとテレビ顧問。
第一生命経済研究所の公式サイトより

Twitter:@zubizac

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