資産運用、短期的変動に振り回され損しない方法?投資原本同額でも380万も利益に差
●積立をするファンドによって大きな差に
では、投信積立をするに当たって、コスト(信託報酬)の安いインデックスファンドとコストの高いアクティブファンドの、どちらがいいかを考えてみましょう。
例えば、過去10年間、インデックスファンドである「ニッセイTOPIXオープン」と、アクティブファンドである「スパークス・ジャパン・スモール・キャップ・ファンド」を毎月5万円ずつ投信積立をしていたとすると、次の図のようになります。
※2004年5月を100として指数化(ファンド月次リターンデータを基にFP法人GAIA作成)
600万円の投資元本に対して、ニッセイTOPIXが735万円になり、+135万円。一方スパークスは600万円に対して1116万円になり+516万円と、約380万円もの差がつきました。同じ日本株に投資をする投資信託に同じ金額、期間で積み立てたにもかかわらず、この差はどこから来ているのでしょうか?
リーマンショック後の両投信の下落率は、ニッセイTOPIXが▲56.5%、スパークスが▲64.4%と、それほどの違いはありません。大きく違うのは、そこからの回復力です。
最大下落後の回復率で比べると、ニッセイTOPIXの86.6%に対してスパークスは240.4%と、スパークスのほうがアベノミクス後のブルマーケット(上昇相場)をうまく捉えています。この2つの投資信託は共に日本株に投資をするので、マーケット全体の値上がり、値下がりのタイミングは同じです。しかし、ニッセイTOPIXが時価総額の大きな大型株中心に投資しているのに対して、スパークスは中小型株をメインに集中投資をするので、変動幅も大きくなりますが、上がる時には大型株中心のニッセイTOPIXより大きな値上がりが見込めます。
一括投資の場合は、下がったところで狼狽売りをしないためにも、下落率が小さいほうがいいですが、投信積立は自動的に時間分散しているので、変動幅の大きさが利益の源泉になるということを踏まえ、より変動幅の大きい資産クラスのアクティブファンドを選ぶべきです。具体的には、大型株よりも中小型株、先進国株よりも新興国株に投資をする運用成績の良いアクティブファンドが投信積立には向いています。
(文=中桐啓貴/独立系FP法人ガイア株式会社代表取締役社長)