ツイッター上で「女子校あるある」ネタが盛り上がったり、『ぜんぶ女子校のせいだ!』『女子高育ち』といった「女子校暴露マンガ」が相次いで出版されたりと、たびたび注目を浴びる「女子校の実態」。
『女子校育ちはなおらない』(KADOKAWA メディアファクトリー/刊)は、女子校出身の漫画家による実体験コミックエッセイです。辛酸なめ子さん、田房永子さん、蟹めんまさん、カザマアヤミさん、水谷さるころさん、大石蘭さん、まずりんさん、松苗あけみさんの8名が集合し、それぞれの女子校エピソードを詰め込んだ一冊です。どんなエピソードが本書で明かされているのでしょうか……?
女子校といえば……やっぱり「百合」?【辛酸なめ子さん】
中学・高校という青春の真っ盛りに、女子だけという特別な環境で何年も過ごしていると、「百合」が散見されるようになる、というのは皆さんの期待通りのようです。女子同士でカップルのようになっている人たちは珍しくなく、ボーイッシュな女子が“男役”としてモテることが多いとのこと。
しかし、そんな微笑ましい「カップルごっこ」だけで終わる女子ばかりではないようです。辛酸なめ子さんによれば、女子校では第二次性徴エネルギーが暴走してしまう女子がたくさんいたそう。例えば、美少女の後輩に「あなたのナプキンになりたい」と告白してフラれたある女子は、自暴自棄になって夜の街をさまよい、出会った年上のレズビアンの女性と流されるまま行為に及んだ、とか。
また、40代後半の化学の女性教師を好きになり、愛を伝えてしまう女子もいたそうです。先生に相手にされなかった彼女は、ついに黒魔術にまで手を染めていたという……。
狙われる女子高生【田房永子さん】
「女子校」の商品価値はやっぱり高いもの。女子校であるために、多くの視線を浴びることは今も昔も変わっていないようです。ただ、その「視線」が困ったものであることも多く……。
田房さんの女子校中高時代には、下校時間になると正門前で踊る男が毎日現れたといいます。吉川晃司の音楽をラジカセで流しながら、道路の中央分離帯をステージとして膝をカクカクさせて踊る男はそこはかとなく気持ち悪く、女子たちに引かれていたそう。
しかし、踊る男は無害だからいいものの、「本格的にキモい人」たちが堂々と校内にやって来る日もありました。それは文化祭。チア部の発表会を下から激写して雑誌に投稿……なんてけしからぬことをする輩も多くいたそうです。そのため、文化祭の入場は「チケット制」になり、女子好みのさわやかな男子が来るようになって、生徒たちは歓喜したそう。とはいえ、先生たちの厳しい目は「さわやか男子」にも変わらずそそがれ、なかなか近付けないというトホホなエピソードもあります。
「女子校育ち」はいつまでも【蟹めんまさん】
「女子校」という特殊な環境に何年も身を置いていると、卒業した後にもそれが身についてしまう人が多くいます。
女子校では男子の目がないのでモテを基準としたスクール・カーストはできませんが、その分人間としての実力や技量が問われることが多く、自分と似た生徒を見つけられないとクラスで孤立してしまうことがあったそうです。
「グループ分け」という序列の強い女子校にいた蟹めんまさんは、「ビジュアル系好き」「下校時にゴス風メイク」といった嗜好のせいでぼっちになり、「グループコンプレックス」に苦しめられました。
そのため、今でも何かにつけて学校の「グループ」に関連付けてしまうようになりました。例えば、「脱毛サロンを小中学生に行かせるのは不自然」という話を聞くと、「毛深いのは最下層グループ所属決定だから、多少不自然でもいじめられるよりは全然ましだ!」と真っ黒な思考に入ってしまうこともあるそうです。
「女子校育ちはなおらない」、まさにここにあり。
本書では、女子校の友情や恋愛、卒業後の「女子校育ち」の影響など、様々な角度から「女子校」のエピソードが暴露されています。女子校出身者や、女子校の生態を知りたい人は楽しめるはずです。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。