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「逆境」を糧に成功する人、「逆境」で潰れる人の違いとは?

構成=木ノ下瞳子/ライター
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(5)笑わない

 逆境に直面している人は、表情が硬く険しくなっています。それは、人を寄せつけない表情です。しかし、逆境の時こそ、無理をしてでも笑顔をつくってみましょう。笑顔は、運やチャンスを呼び込んでくれます。

 この5つの共通点からわかるように、逆境を乗り越えられるかどうかは、その人の能力や精神力とは関係ありません。考え方や行動パターンの癖を少し直すだけで、誰でも逆境を乗り越えることができるようになるのです。

手帳に問題を一つひとつ書き出す

–心の強い人や強運な人だけが、逆境を乗り越えられるわけではないのですね。そうはいっても、自分の考え方や行動を変えるのは、なかなか難しいことだと思います。ましてや、逆境の最中に冷静に自分を見直すというのは、強靭な精神力がないとできないのではないでしょうか。

山口 私は、手帳を使って半強制的に逆境を抜け出す行動パターンをつくることを提案しています。やり方は簡単です。まず、新しい手帳を買ってください。カレンダーとノートのページさえあれば、なんでもかまいません。自分が気に入ったものでOKです。

 次に、ノートのページに自分が抱えている問題を分解して書き出します。問題を一つひとつバラバラにする、というところがポイントです。多くの場合、逆境はさまざまなファクトや感情が関連し、からみ合っているものだからです。例えば、以下のような例はどうでしょう。

「会社で、査定が下げられた。このままだと、給与もボーナスも減額されてしまう。上司は、そもそも俺のことを必要ないと思っているんじゃないだろうか。転職するにしても、自分の年齢では正社員での転職は難しいだろうし、来年は子供の受験もある。そもそも、俺はいったい何をやりたいんだろう?」

 こんなふうに頭の中がグチャグチャだと、何が原因で、どうすれば解決するのか、見極めがつきません。ネガティブな感情と事柄が交錯し、考えれば考えるほど自分を追い込んでしまいます。問題の輪郭が漠然としているせいで、逆境のスケールが必要以上に大きく見えてしまうことも特徴です。本人にとって、これは非常に苦しい状況です。

 この悪い流れを断ち切るのが、問題をバラバラに分解する方法です。とはいえ、ネガティブな感情が絡んでいるので、頭で考えてもなかなかうまくいきません。だから、手帳に書き出す方法が有効なのです。

 具体的には、まずは自分が感じていることをありのままに書き出してみましょう。誰にも見せないのですから、順番も表現も気にする必要はありません。どうぞ、書き殴ってください。

 次に、その要素を一つひとつ分解して、箇条書きにしていきます。先ほどの例で考えると、

・会社で自分の査定が下がっている(事実)
・上司は自分を評価していないようだ(推測)
・自分の年齢では、正社員の転職は難しい(推測)
・子供の進学が控えているため、費用の確保が必要(事実)
・自分がやりたい仕事がわからない(感想)

 このような感じになります。一つひとつ箇条書きにすることで、かなり頭の中が整理されるのではないでしょうか。問題をバラバラにすることで、お手上げだった状況を、対処できる「課題」に変えるのです。

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