清永:「ズラすこと」です。
書籍『飛び込みなしで「新規顧客」がドンドン押し寄せる「展示会営業」術』の中で、教育研修の会社が美容の展示会に出て成果を上げた話を書きましたが、他にもズラすことで成果を上げた例はあります。
ビッグサイトで300社くらいの出展があるコーヒー関係の展示会があります。
そこではコーヒー豆、コーヒーカップ、コーヒーメーカー、コーヒーに入れるお砂糖などなど、コーヒーにまつわる商品が集まるのですが、実は一番お客さんを集めたのが、「紅茶」のブースだったんです。
コーヒーと紅茶を買い付けるバイヤーって、兼ねていることが多いんですね。バイヤーからしたら「せっかくだから紅茶も見ていこうか」という感じで人が集まったんです。コーヒーばかりが並んだ閉鎖空間だから、そのブースは「紅茶」というだけでオンリーワンですよね。
そんなふうに、自分が提供したい情報、情報を伝えたい人が明確なら、ズラした方がお客さんを集めることはできるケースが多いんです。
他にも、面白いと感じたのは、エンディング産業。いわゆる終活やお葬式の関係の展示会で見かけた、とあるブースです。
展示会そのものの雰囲気は厳かですが、一番にお客さまが集まっていたブースでは「漫才」が行われていたんです。それがなかなか面白くて、漫才にその会社が伝えたいコンセプトが盛り込んであって、「お葬儀はこういうふうにやろう」みたいなことを言っているんです。
これも会場の雰囲気からズラしたところで勝負をしたわけです。しかも、単に奇をてらっただけではなく、メッセージも入っているあたりが、ポイントを押さえているなと感じました。
――本書の中では、「展示会営業」と「ゲーム化」「動画の活用」といったノウハウを組み合わせています。こうした色々なアイデアを組み合わせようという発想はどうやって生まれるのでしょうか?
清永:同じことを同じようにやるのが好きではないんですよ(笑)。ちょっとずつ工夫をしていきたいという気持ちがあるんです。それと、人のやらないことをやったほうが上手くいくと思っています。
私は、「展示会営業」のコンサルタントをしていますが、コンサルタントの仕事では、クライアントさんに「人のやらないことをやりましょう」と言うんです。
それなら、コンサルタント自身も自分が言っている事を実践したほうがより良い結果が出せるかな、と。そういう気持ちでいるからアイデアも考えつくのかもしれませんね。
動画の活用の事例は増えつつありますが、それでもビジネスではまだ少ないです。
「ゲーム化」については、以前に出させていただいた『「仕事のゲーム化」でやる気モードに変える』『営業のゲーム化で業績を上げる』(ともに実務教育出版)という書籍に詳しく書いたのですが、嫌々やるより楽しくやったほうが成果は上がる、という話です。 展示会営業よりも先に「ゲーム化」というノウハウがあったのですが、展示会営業をブラッシュアップする過程で、組み合わせていきました。展示会はイベントですから、ゲーム化と相性がとてもいいんです。
――実際に展示会に出展しようと考えている企業もあると思いますが、展示会出展のメリットを他に教えていただけますか?