新規顧客の獲得や販路の拡大を狙う企業にとって、業界各社が一堂に集う展示会は大きなチャンスだろう。特に限られたリソースで新規顧客を増やしていかなければならない中小企業にとっては、
・体感させながら、積極的に自社商品の価値を伝えることができる。
・事前集客に必要以上の労力を割かなくていい。
・展示会来場者は、特定のテーマに平均以上の関心を持っている。
・決裁権のある人間と接点をつくることができる。
など、メリットが多い。
■「展示会でモノは売れない」その真意とは?
しかし、単に展示会にブースを出すだけでは高確率で失敗する。つまり、新規顧客を捕まえることもできないし、当然売上が伸びることもない。
そう語るのは、『3秒で顧客をつかむ!コスト効果“3300%”の「展示会営業」術!』(ごま書房新社刊)の著者で中小企業診断士の清永健一氏だ。展示会を利用した営業スタイルのコンサルタントとしても活動する清永氏は、「来場者、ブースに立ち寄り、たくはない」「展示会、その場で売れる、ことはない」の二つが、展示会の真実だという。
来場者は特定の企業のブースを目当てに来ているわけではなく、限られた時間でできるだけ多くのブースを見たい。その場で商談をする気などさらさらない。そうした相手に対して、企業側はなんとか自社のブースを見て欲しいと手ぐすねをひいて待ち構えているわけである。この両者のテンションの違いがわかっていないと、展示会はうまくいかない。
■「せっかくの機会だから」が客足を遠ざける
では、どうすれば展示会出展を有意義なものにできるのか。清永氏は本書でそのノウハウを明かしていく。
企業側がまず改めるべきは、「一人でも多くの来場者を自社のブースに呼び込んで、とりあえず名刺交換をする」という姿勢である。来場者にどんなに熱心に商品の魅力を説明して、相手の反応が悪くないものだったとしても、「展示会でどんな人と出会いたいか」というビジョンや、展示会に出展するにあたって準備からアポ、受注までのプロセスが明確化されていないと、後日渡された名刺に連絡してアポが実現する確率は相当に低い。
これらを事前にはっきりさせた上で、清永氏は『1ブース=1アイテム=1ターゲット』を、展示会成功のカギとして挙げている。「せっかくの機会だから」と自社製品をすべてプッシュするのではなく、自分たちがターゲットと定めた人の問題を解決できる商品を一つプッシュするのが、成功の決め手なのだ。
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ここでは展示会成功のための考え方やスタイルについて触れたが、本書では具体的なブースの作り方、来場者が足を止めたくなる仕掛けの作り方、受注までのプロセスまでを詳しく解説している。
どの企業にとっても喉から手が出るほどほしい新規顧客や新たな販路。それを見つけるために清永氏のノウハウは役立つところが多いはずだ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。