–参加する人の属性に特徴はありますか?
市居 年齢は18歳~20代前半の若者と年配の方が多く、男女別では女性比率が高いようです。シドニー大会では、ヨーロッパからは会社の有給休暇を取って参加するボランティアが多かったです。日本人のボランティア数は、シドニー大会とアテネ大会で、それぞれ約20人、約40人ほどでした。
●選手や世界中の人々と話す機会も
–ボランティアが担当する職種には何があるのでしょうか?
市居 来場者案内、グッズ販売、チケット販売、競技運営補助、食事サービス、選手村、環境サービス、警備、通訳・翻訳サービス、大会VIPの接遇、若者たちが交流するオリンピックユースキャンプ、開会式のパフォーマンス、メダルセレモニー、運営管理、輸送サービス、医療サービス、ドーピングコントロール、広報サービス、メディア支援。こうした多くの分野の仕事があります。
–市居さんは何を担当されたのですか?
市居 シドニー大会ではビーチバレーの会場案内、アテネでは水泳会場での記者とカメラマンのサポートです。また、パラリンピックではバスケットボールとテニスの会場案内を担当しました。
–オリンピックボランティアになるメリットはなんでしょうか?
市居 競技を間近で見ることができますし、世界トップの選手たちと話せるチャンスもあります。世界中の人たちとも知り合えますし、ボランティア限定のプレゼントとして大会ロゴの入った時計や特製ピンバッジなどがプレゼントされることもあります。また、大会終了後には、ボランティアのためにパレードやコンサート、パーティーなどが開かれます。
そして何より、オリンピックの雰囲気を体感できることです。大会が開かれると街全体が盛り上がり、気温が10度ぐらい上がったかのような熱気に包まれるのです。この感覚はオリンピックでないと体感できません。普通はなかなか出会えないような多くの国の人たちと一緒に働いたり、さらに「オーストラリア人はすごくおおらか」「ギリシア人は話好き」など、ホームステイによって開催国の国柄や国民の人柄もよくわかります。開催都市の街全体がお祭りになって、とにかく楽しいのです。
–オリンピックの魅力に惹かれて、毎回参加するボランティアも多いのでしょうか?
市居 シドニー大会の時、8回目の参加という人がいました。30年近くにわたって参加していることになります。
–ボランティアの期間は研修と大会期間と合わせて1カ月ぐらいですが、費用はどのぐらいかかりましたか?
市居 往復の旅費以外に、ホームステイ先への宿泊費として1日40米ドルを30日分支払いました。
–1カ月の海外旅行費用よりも安上がりで、ディープな経験ができるともいえますね。
市居 2020年の東京オリンピックには「自分も大会に関わってみたい」と思っている人が多いのではないでしょうか。本書では、19の担当職種について理解しやすいようにイラストで解説しました。今から準備を始めれば、専門職種に就ける可能性もありますから、『オリンピックボランティアになるための本』を手がかりに、ぜひ皆さんもオリンピックに参加してみてください。
(構成=編集部)