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石渡嶺司「大学・キャリアのぶっちゃけ話」

就活時期後ろ倒し、得/損する大学…慶応は得で、早・上智は損?

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 立命館大は以前から就職支援に熱心な大学として有名です。職員もキャリア教育をかなり真剣に考えています。そして、今回の後ろ倒しが学生に与える影響も、冷静に分析していることでしょう。就職支援行事なども学外からの非難と就職実績への悪影響を考えたとき、多少の非難があっても現状維持のほうが得、という計算をするに違いありません。それを考えれば大きく損はしないでしょう。ただ、慶応大の学生と違って、早稲田大などと同じくのんびり構えてしまう学生は多そうです。こういう事情を考えると、慶応大と同じく「大きく得」とは言い切れず、「中立」評価が妥当なところです。

 もちろん、早稲田大にしろ他の3大学にしろ、大学が就職支援行事のスケジュールを現状維持で進めれば、それほどの影響は受けません。このあたりは大きく変わる可能性もあるでしょう。

 問題は早慶上智大から芝浦工業大・大阪工業大あたりまでの理工系学部。ここは大学が就職支援行事をいつに設定しようとも、卒業研究の時期は動かせません。今回の後ろ倒しで卒業研究の時期と重なるわけで、確実に悪影響となります。メーカーからすれば、こうした難関~準難関の理工系学部生は欲しいでしょうから、卒業研究に悪影響が出ないよう、採用方法をどうにか考えるはず。それであれば、大きく損することは考えにくい、ともいえます。

(5)大きく損する大学

 多数の地方国公立大学、特に理工系学部、就職支援が空回りしている中堅以下の私大、芝浦工業大・大阪工業大より偏差値の低い理工系私大

<解説>
 地方国公立大は、ただでさえ就活開始時期がのんびりしています。首都圏や関西圏の大学が大学3年秋ないし冬から動き出すのに対して、地方国公立大では大学3年冬から春に動き出す学生が多数。まして、今回の後ろ倒しをまともに受け止めて、就職支援行事を合わせて後ろ倒しにすることが考えられます。ここで北九州市立大や岡山大、福岡女子大などのように就職支援・キャリア教育を相当考えている人材のいる地方国公立大はまだ救われますが、残念ながら多数の地方国公立大にはそこまでの人材はいません。

 人材がいない、ということは就職支援行事を後ろ倒しにする、その分だけ学生に悪影響ということが十分に考えられます。

 地方国公立大以外では、就職支援が空回りしている中堅以下の私立大。勉強させている大学ならまだいいのですが、そうでない大学の学生の学力は、世間が想像する以上に低いものがあります。学力が低い分、社会常識なども備わっていません。こうした大学がいくら就職支援行事などをやっても、空回りするだけです。そして後ろ倒しにすればした分だけ、だらけた学生生活を送ることは間違いありません。よく、「就活時期を後ろ倒しにしても学生は勉強しない」などと述べる論客がいますが、この層に限っては同感です。勉強するわけでもない、就活に力を入れるわけでもない、他に何をするわけでもない、この層の大学は大きなダメージを受けるでしょう。

 中堅以下の私立大理工系学部だと、さらに卒業研究が重なります。二重三重のハンデを背負うことは、前回解説しました。ここで、卒業条件がやたらと厳しい東京理科大をはじめ、「就活だろうがなんだろうが、卒業研究をきちんとやらないと卒業はさせない」と言い切る大学であれば学生の学力もそれほど下がらず、企業からも評価されて就職できていくでしょう(もちろん、大量の留年者が発生するという別の問題はあります)。

 しかし、受験生集めに苦戦している中堅以下の私立大理工系学部だと、卒業研究を緩めて就活を優先することが考えられます(そうでなければ受験生が集まらないからです)。これは、一時的には良くても、長い目で見れば学生の学力は大きく低下。当然ながら企業から評価されなくなり、就職実績が悪化。その影響で受験生集めがさらに苦しくなり、そのために入学条件と卒業研究を緩めて、また学力が低下し……という悪循環が考えられます。

BusinessJournal編集部

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