都市郊外の商店街が、どんどんシャッター化している。地方都市など、県庁所在地の駅から連なる商店街までシャッター化している場合がある。そういう光景を見ると、この国の活力が確実に衰えていることを感じる。
そういった商店街の中に、突如新築マンションの建設が始まるケースがある。分譲マンションの場合、土地の広さがある程度は必要なので、個人商店クラスではマンション用地になりにくい。それゆえ、以前では何店かが集まって「マーケット」を形成していたような跡地がマンションに生まれ変わったりする。あるいは、個人商店がいくつか地上げされてマンションデベロッパー(開発会社)に卸されたりもする。
一方、東京は日本橋の人形町や八丁堀近辺、大阪なら船場周辺で中小規模の分譲マンションが数多く供給されている。これらの街では問屋や地場産業の中小企業社屋が多い。商品流通や産業構造の変化によって、廃業や移転する中小企業が自社ビルをマンションデベロッパーに売却しているのである。こういったところは交通利便性が高いので事業化しやすい。
実際のところ、東京や大阪の商店街や雑多なオフィス街で不動産の売り物が出ると、買い手はマンションデベロッパー以外にいないのが現状だ。そこにテナントビルを建設しても借り手がうまく見つからないため、事業化できない。東京や大阪で新たに建設されるテナントビルは、その大半が一等地の大規模オフィス。老朽化した中小規模のテナントビルが建て直されるケースは極めて少ない。
東京や大阪、あるいは京都のような都市では、中小の老朽オフィスビルがどんどんマンションに変わっている。マンションデベロッパーは、そのように売りに出される不動産の「最後の買い手」なのである。
現在、日本の不動産は9割が無価値化している。大都市とその郊外以外の不動産は、売り出されたとしてもほとんど買い手が現れない。地方の田園地帯ではタダでももらい手がない不動産だらけだ。
空家も増えている。2013年時点の調査で日本全国の空家率は13.5%。このまま新築住宅を作り続ければ23年に21%になると、野村総合研究所は予測している。現に、賃貸市場ではオーナー側が仲介業者に数カ月分の「広告費」を払ったり、入居後1~2カ月分の家賃を無料にするフリーレントという慣習も定着している。実質的な賃料の下落である。
そのような状況の中、マンションデベロッパーは「最後の買い手」として大都市の不動産流通市場を支えている。彼らが買うからこそ、大都市の不動産価格は下落していない。むしろ上昇傾向にあるのだ。
恐ろしい予測
では、彼らが買わなくなったらどうなるのか。これは、かなり恐ろしい予測である。