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安部徹也「MBA的ビジネス実践塾」

おてごろマック、今週末の前代未聞プロモで復活に導くか?かえって悪評広がるリスクも

文=安部徹也/MBA Solution代表取締役CEO

一方で、無料キャンペーンには大きなリスクも……

 無料でハンバーガーを配れば、もちろん多くの顧客が来店するはずです。そして、このキャンペーンによって、2年5カ月にわたって続いた顧客の減少についに終止符を打つことができる可能性も高まったといえるでしょう。

 ただし、この無料キャンペーンは数々のメリットと同時にマクドナルドにとって大きなリスクをもたらすことも考えられます。

 1つ目は30万人が一斉に全国のマクドナルドに押し掛けることにより、店舗のオペレーションに混乱を来たし、逆に悪評が広まることもあるかもしれないというリスクです。

 現状のマクドナルドの店舗は全国におよそ3000店なので、30万人が均等に来店したとすると1店舗あたり100人です。3時間のキャンペーンですから、1時間あたりは33人、10分あたりまでドリルダウンすると5人~6人と1人2分弱で注文をさばくことができれば計算上は問題ないように感じます。ただ、通常は30万人限定とすれば、我先にとキャンペーンの開始直後に来店することが考えられますので、都心など特定の店舗に予想をはるかに上回る顧客が集中することも十分に考えられます。そこで、店舗のオペレーションに混乱を来たしてハンバーガーが提供できないような状況になれば、かえって顧客の不満が爆発し、インターネット上で散々な評価が拡散するリスクもあるのです。

 また2つ目として、いきなり新製品を無料で提供することによって、顧客に「おてごろマック=価値のないもの」というイメージが植え付けられるリスクもあるでしょう。

 もし、カサノバ社長が宣言したように、おてごろマックが本当に価値の高い商品であれば、値引きせずとも顧客は喜んで購入するはずです。それを最初から無料で提供してしまえば、いきなり商品自体のブランドや価値が毀損され、200円という定価で販売したときに、誰も見向きもしなくなる危険性があるのです。

 果たして、これらのリスクを乗り越え、かつてプレミアムローストコーヒーで成功したように、今回のキャンペーンが再びマクドナルドの輝きを取り戻すきっかけとなるのでしょうか?

 その成否に注目が集まります。
(文=安部徹也/MBA Solution代表取締役CEO)

安部徹也

安部徹也

株式会社 MBA Solution代表取締役CEO。1990年、九州大学経済学部経営学科卒業後、現・三井住友銀行赤坂支店入行。97年、銀行を退職しアメリカへ留学。インターナショナルビジネスで全米No.1スクールであるThunderbirdにてMBAを取得。MBAとして成績優秀者のみが加入を許可される組織、ベータ・ガンマ・シグマ会員。2001年、ビジネススクール卒業後、米国人パートナーと経営コンサルティング事業を開始。MBA Solutionを設立し代表に就任。現在、本業にとどまらず、各種マスメディアへの出演、ビジネス書の執筆、講演など多方面で活躍中。主宰する『ビジネスパーソン最強化プロジェクト』には、2万5000人以上のビジネスパーソンが参加し、無料のメールマガジンを通してMBA理論を学んでいる。

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