なぜ添加物が大量に使用されるのか。本連載前回記事では、安い添加物が増えた理由について説明しました。今回はその続きです。
食品会社にとって便利だから
筆者は以前、製薬会社の研究所で食品添加物の研究開発に従事しておりました。そこで筆者は、添加物が大量に使用されている実態を目の当たりにしました。
たとえば、カマボコ、ちくわ、はんぺん、さつま揚げといった水産練り製品は、原料の冷凍されたすり身(主にスケソウダラの身をすり潰し、縮合リン酸塩などいろいろな添加物を大量に加えて冷凍したもの)に、味付けのためにさまざまな化学調味料を使用します。
さらにシコシコとした食感、いわゆるコシを出すために品質改良剤、保存性を高めるために保存料などを添加します。添加物を使えば水をたくさん加えることができ(「歩留まりが上がる」と言います)、食品メーカーの儲けが増えます。
添加物メーカーの言いなりになっている練りものメーカーがたくさんあります。練るときに多種の添加物を加えやすいですので、練りものは添加物メーカーにとってオイシイ食品なのです。
練り製品は日本の食文化のひとつです。添加物メーカーの言いなりにならず、素材本来の味を生かした脱添加物化、減添加物化を真剣に考えるべきだと思います。きっと消費者に大歓迎されると思います。
消費者の健康は考慮外
添加物メーカーは日々、売れそうな添加物を研究しています。筆者が在籍していた研究所では、添加物の合成、製剤、食品分析、安全性の研究はもとより、食品を試作できる設備も充実しており、試験を毎日行っていました。
そこで筆者が見たのは、食品を食べる消費者の健康のことなど考えている研究者がまったく存在しないという現実です。この研究所の研究員は、九州大学、京都大学、大阪大学、東京大学、北海道大学など旧帝大系大学の大学院出身者がほとんどを占めていますが、彼らが毎日行っているのは、
・いかにして安くつくるか(合成方法の研究)
・いかにして多くの食品に使用させるか(応用研究)
・いかにして食品に多量に添加させるか
・さまざまな添加物を組み合わせ、さらに売れる添加物製剤の研究
・新しい添加物の研究
といった仕事です。食品会社に便利な添加物の研究に明け暮れているのです。添加物を食べさせられる人のことなど、彼らの頭のなかにはないのです。それよりは、いかにして社内での業績を上げるかに必死なのです。