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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

絶対にバレない最強のドーピング方法?検査スルーできるレベルなら許されてもよいのか

文=新見正則/医学博士、医師

 そして、抜き打ちで検査を行うために、競技会前にあらかじめドーピングをする方法は難しくなりました。しかし、通常抜き打ち検査も真夜中は行われないので、夜中の10時に摂取して、翌朝には検査で陽性と判定される値以下になれば、ドーピングはバレずに実行可能になります。

 そこで、ドーピングの薬そのものを捉えることに執着せずに、体の変化を記録することに主眼が置かれました。つまり通常の生活では起こらないような血液データの変化が指摘できれば、それでドーピングを強く疑うという方法です。この生体パスポートが導入されて、そのプログラムをかいくぐってドーピングを行うことはますます困難になりました。でも可能なのです。やろうと思えば。

 たとえば、エリスロポイエチンや血液ドーピングを見つけるためには、赤血球の濃度の指標であるヘマトクリット値を用います。これが50%以上であればドーピングを行っていたことを強く暗示します。しかし、別の立場からみれば、49.999%であれば、ドーピング検査は陰性と報告されるのです。そこで、50%以上と思われるときは、検査官を外に待たせておいて、そしてその間に急速に大量の点滴を行えば血液は薄まるので、ヘマトクリット値を50%以下にできるのです。

検査でひっかからない範囲ならOK?

 さて、“非常識君”がいいます。

「だからドーピング検査にひっかからない範囲であれば、ドーピングは行っても構わない」

 お酒を飲んで運転しても、警察の呼気検査で陽性とならない範囲では有罪ではないのと同じです。ツール・ド・フランスなどでは、みんなが行っているドーピングを行わないと、まったく勝てないそうです。チームとしてドーピングに抵触しないような薬物を探して、また抵触しない範囲で投与することも、実は自転車競技のなかのスキルのひとつと考えれば腹が立ちません。

“極論君”が質問します。

「そもそも、アスリートの体に薬物が害を及ぼすから、ドーピングは禁止されているのです。ですから、ドーピング検査で陽性にならなくても、ドーピング違反となる薬物を摂取することがすでに違反行為なのです。ですから、アスリートはどんなときでもドーピング違反に抵触するような薬物は摂取してはならないと思っています」

新見正則/医学博士・医師

新見正則/医学博士・医師

1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

 幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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