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うつ病患者の薬大量服用自殺、どう防ぐ?壮絶な死を遂げた患者の事例

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向精神薬「アモキサピン」の大量服用で自殺〜患者・家族・治療医に求められる対応とは?の画像1
向精神薬アモキサピンによる自殺を考える(depositphotos.com)

 私が10年ほど前に経験した、抗うつ薬を大量服用して服用後短時間で死亡した患者さんについて紹介しよう――。

 約2年前よりうつ病と診断され、某メンタルクリニックで治療していた26歳の女性。抗うつ薬アモキサピンを1日用量150mg、毎回2週間分処方されていた。

 同棲していた彼氏曰く、最近、抑うつ状態が激しく、長期間、家に閉じこもりがちだったという。ある朝、彼氏が外出したのちに、彼女はアモキサピン85錠(1錠50mg、総量4250mg)を服用した。

 5時間後に帰宅した彼氏が、全身性のけいれん発作を呈し意識消失している恋人を発見して、救急車を要請した。搬送時は、意識なく呼吸は浅く、瞳孔は散大し、不整脈が頻発して、全身性のけいれんも持続していた。ICUで人工呼吸器管理下のもとで、強心薬などにて治療したが、心不全、呼吸不全、横紋筋融解症による急性腎不全などを併発し、搬送後わずか16時間で鬼籍に入った。 

 横紋筋融解症は、急性薬物中毒にて急性腎不全を併発する要因となる病態。服用薬の作用により、筋肉の細胞が溶けて壊死が起こり、筋肉成分のミオグロビンなどが腎臓に取り込まれて、尿が出にくくなり、急性腎不全を起こす。手足のしびれや痛み、倦怠感、歩行不能、尿の色がワインのような赤褐色となり、尿量が減少するなどの症状を呈する。 

急性アモキサピン中毒とは?

   アモキサピンは、第2世代の抗うつ薬として、我が国でも精神科領域で用いられている。本剤は有効治療量と中毒量が非常に近いので、安全性には問題がある。

 一度に500mg程度服用すると、口渇、便秘、めまい、眠気などを訴え、1500m以上を服用すると、昏睡、けいれん発作、低血圧、重篤な不整脈、高体温、横紋筋融解症、急性腎不全などが引き起こされる。2000mg以上服用すると、致死的となる。死因は心臓死、呼吸不全、急性腎不全などによる。

 本剤は、血液透析などによる解毒・排泄は不可能である。農薬などの化学薬品中毒とは異なり、大部分の急性向精神薬や催眠薬の大量中毒例では、意識レベルの低下が主症状で、死に至るケースは比較的まれである。

 しかし、アモキサピンなどの三環系抗うつ薬では、服用後、短時間でほぼ同時期に起こる、中枢神経と心臓、腎臓などへの悪影響が顕著であるため、極めて危険である。

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