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三浦展「繁華街の昔を歩く」

『「東京DEEP案内」が選ぶ首都圏住みたくない街』は、画期的な名著である

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均質化する都市への疑問


 だが、タイトルの「住みたくない街」は、単行本化に当たっての引っ掛けだろう。鉄道沿線別のコメントや、それぞれの街へのコメントも、活動の網羅性をアピールするために書かれただけのように思われる。二子玉川や自由が丘を揶揄するのも、著者でなくてもできることだ。

 それより何より本書の魅力は、やはり場末、ドヤ街などを扱った章だ。執拗に朝鮮人などの外国人や労働者階級が多く住んだ街を取り上げているので、彼らへの差別意識があるのかと疑われるところがないではなく、そこが嫌だという読者もいる。著者が本当はどう思っているのか私は知らないが、自身が大阪の湾岸の工場地帯育ちだそうだから、自然とそういうところに目が行くのだろう。
 
 著者は書いている。

「振り返れば、2011年の東日本大震災をはじめとする度重なる地震災害、2015年の川崎日進町のドヤ火災などさまざまな出来事を乗り越えて、日本の建築物はどんどん防災基準を上げて、丈夫で地震に強いながらも、一方で全てが計算され尽くした没個性的で面白みに欠けるものばかりに代わっている」

「粗末な家屋」であることを意味する「バラック」に対して、「ある世代以上であれば本能的に抱く昭和のノスタルジー」がある。「二度と換えが利かない懐かしい風景」「旧時代の儚い徒花とも言える」バラックのある街に対して、著者は「特殊な感情を覚えてしまう」。

「バラック建築の唯一無二性を感じながら、人が暮らす理想の住居とは、建物の様式美とは何なのか根本から考えるきっかけにしたい。荒廃した廃屋同然のあばら家なんぞ放火や地震による倒壊のリスクもあるし、あんまり家の近くに在ってほしくないというのが多くの人間の本音だろうが、もしかすると今しか見られないかもしれないこうしたバラック建築の数々に、今一度思いを馳せてみたい」(同書)

 ここに著者の「住みたくない街」への愛憎、そして再開発で新しくできる街への不満がよく現れている。

新興住宅地の崩壊


 話が少し変わるが、現在、日本の犯罪件数は02年のピーク時の3分の1に減っている。テレビなどを見ると、常に恐ろしい犯罪が報道されているので、まったくそんな実感はないが、監視カメラの普及などのおかげだと思うが実際は犯罪は減っているのだ。

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