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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

荒れる相撲界、力士の食べる「ちゃんこ」の乱れが原因か

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事

人口減少社会の日本、食文化の見直しは必須

 世界中にその伝統と文化を羨む人たちがいる日本ですが、今はすでに超高齢化社会となってしまっています。年金問題ひとつをとってみても、先は暗澹たるものです。日本の年金に対する評価は、先進国27カ国中26位で、130兆円あるといわれている年金基金も、一人当たりに換算するとわずかなもので、運用を一歩間違えればあっという間に消失しかねない危険性をはらんでいます。

 日本の年金は「賦課方式」といわれるもので、自分自身がある一定期間に積み立てたものを、高齢になって働けなくなった時に自分自身が使うのではありません。現役世代が納めたものを、その時の受給対象者が受け取るという仕組みです。

 これからの日本は人口減少が必至で、年金を支えるべき生産年齢人口も当然、減っていきます。12月22日に厚生労働省が発表した「人口動態統計」の年間推計を見ると、17年に国内で生まれた日本人の新生児は94万1000人でした。100万人を下回ったのは2年連続です。一方、死亡者数は134万4000人で戦後最多となり、出生数が死亡数を下回る「自然減」は40万人を超しています。もちろん、これは初めてのことです。政府が大々的に推進しようとしている「子育て支援」も、さぞやりがいがあることでしょう。しかしその前に、支援する子供を、安心して産み、育てられるよう支援しなければなりません。

 日本の切実な人口減少問題を解決に導く方策として、移民を受け入れようという意見がありますが、その時起きると予想されるのは、今回、相撲の世界で起こったことと同様ではないかと筆者は思うのです。つまり、日本固有の伝統や文化を理解できないために起こる摩擦です。そして、それによって起こり得る理解不能の出来事です。

 どのような選択をするにせよ、私たちは将来、この国で培われてきた伝統や文化を守っていくことができるのか、甚だ疑問です。あるいは、別段、その伝統や文化を守り引き継いでいくことに、意味も責任もないのでしょうか。それは個人個人が考えるべきことと心得てはいますが、筆者は圧倒的に守るべきだと考えています。そして、その基盤となっているのが食文化だと言いたいのです。

 食文化を理解することなくして、その国、民族の歴史や伝統を学ぶことはできません。それは、取りも直さず「食べることは生きること」だからです。食文化こそが日々の食生活の大元をつくり出し、それが民族の健康を支え、元気な子供を産み育てることにつながっていくのです。

 現代に生きる私たちは、もう一度、この国に何ゆえこれほど素晴らしい食文化が芽生え、発展してきたのかを考えるべきではないでしょうか。そしてそれが、自分たちの世代のみならず、未来の子供たち、大人たちの健康を守り支える礎になるということも認識すべきではないでしょうか。

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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