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森由香子「間違いだらけの食」

糖質過多の食事、認知症リスク増大との研究結果

文=森由香子/管理栄養士
糖質過多の食事、認知症リスク増大との研究結果の画像1「Thinkstock」より

 糖質の摂り過ぎは体に良くないといわれ始め、糖質制限食を実践している方が多いと思います。ご存知のように糖質過多の食事は、糖尿病などの生活習慣病を引き起こす要因のひとつと考えられています。では、糖質過多の食事が認知症を早める危険因子にもなっていることをご存知でしたでしょうか。

 近年、肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病が、アルツハイマー型認知症の発症と深い関係があるといわれています。そのなかでも、糖尿病と認知症との関連が注目を浴びています。
 
 その理由のひとつとして、血糖値が高い状態を長い間そのままにしておくと、脳の神経細胞がダメージを受けやすいためと考えられています。私たちの体は、インスリンが血糖の働きをコントロールしています。しかし、食べ過ぎや運動不足などの悪い生活習慣によりインスリンが不足したり、働きが衰えたりすると、血糖の働きをコントロールすることが難しくなります。

 また、インスリンは、血糖のコントロールをするだけではありません。神経細胞の働きをサポートするなど大切な役割も果たしていることもわかっています。

 ところで、インスリンは役目を終えたら最後はどうなるのでしょうか。実は、役目を果たしたインスリンは、インスリン分解酵素の働きにより分解されてしまいます。そしてうれしいことに、その時、認知症の原因とされるアミロイドβという物質も分解してくれるというのです。

 アミロイドβとは、タンパク質の一種で、脳の神経細胞からでたゴミのようなもので、ヒトは誰でも加齢とともにアミロイドβが、多かれ少なかれたまっていきます。このゴミのようなアミロイドβがたまっていくと、脳の神経細胞の外に老人班というシミのようなものができ、脳の細胞の働きを邪魔し、細胞を死滅させて脳を委縮させることがわかっています。

 アミロイドβは、認知症の症状が発症する20年ぐらいまえから脳内にたまり始めます。

 食事から糖質を摂り過ぎてしまうと、インスリン分泌量が増え過ぎます。するとインスリン分解酵素は、インスリンの分解を優先します。

 そのため、インスリン分解酵素は、アミロイドβの分解をすることができなくなり、アミロイドβがたまり、神経細胞が死んでしまうと考えられています。ある研究者は、アルツハイマー型認知症を脳の糖尿病と呼んでいます。

 生活習慣病の糖尿病は、予防することが可能です。血液検査で血糖値が高い方は、早い段階から生活習慣、食事習慣を改善し、血糖値を基準値内に保つようにしましょう。認知症の発症リスクが低くなります。糖質の摂り過ぎに注意し、適量の摂取を心がけましょう。
(文=森由香子/管理栄養士)

森由香子/管理栄養士

森由香子/管理栄養士

東京農業大学農学部栄養学科卒業。大妻女子大学大学院(人間文化研究科 人間生活科学専攻)修士課程修了。 クリニックにて栄養指導、食事記録の栄養分析、食事管理業務に従事。フランス料理の三國清三シェフととともに病院食や院内レストランのメニュー開発、料理本制作の経験をもつ。管理栄養士・日本抗加齢医学会指導士の立場から食事からのアンチエイジングを提唱している。「老けない人は何を食べているのか」「病気にならない人は何を食べているのか」「体にいい『食べ合わせ』」「太らない人の賢い食べ方」「老けない人の献立レシピ」など著書多数

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