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第1戦で仲間批判の本田圭佑が第2戦で「人格者」に豹変、これが決勝T進出を生んだ!

文=杉山崇/神奈川大学心理相談センター所長、人間科学部教授、臨床心理士
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第1戦で仲間批判の本田圭佑が第2戦で「人格者」に豹変、これが決勝T進出を生んだ!の画像12018 FIFA W杯 日本がグループ2位でベスト16進出(写真:AFP/アフロ)

2018 FIFAワールドカップ(W杯) ロシア大会」グループリーグ第2節、日本代表は第3戦終盤の消極采配が批判されていますが、無事に決勝トーナメント進出を果たしました。「試合に負けて大会に勝った」ともいえそうな、ストレスのたまるポーランド戦でした。

 ともあれ、「日本は世界の3部リーグ」と公言していたハリルホジッチ前監督との決別が正しかったのかどうかについては、絶望視されていた決勝トーナメント進出という最高のかたちでその答えが出ました。この結果は、もちろん西野朗監督のチームづくりの成果ではありますが、選手個々の成長を抜きには語れません。

「俺が!」が強かった本田がまさかの変心

 たとえば本田圭佑は、途中出場で決勝点をアシストした第1戦後には、主に仲間たちの戦い方に対して「内容は良くなかった」と批判的でした。インタビューでは自分を控え扱いした西野監督への皮肉も込められていたと報じられています。それが途中出場で決勝点を挙げた第2戦では、「サブに対してこれだけ前向きに考えられたサッカー人生はなかった」と答えています。

 これまでの本田なら、ベンチスタートやサブ扱いには不満しかない態度が有名でした。しかし、第2戦でベンチスタートを受け入れる発言をして注目されました。また、表情の変化にも注目がありました。

 そして第3戦ではとうとう出番がありませんでした。ですが、不平不満を述べることもなく、難しい戦いをした仲間の心中を気遣い、勇気のいる采配を振るった西野監督を称えるような発言をしました。

もともと「俺が!」だけではないので人望が厚い

 本田といえば、「俺が!」という自覚、責任感、危機感、そして自我も強い選手として有名です。ただ我が強いだけでなく、大局的な視野を持ち、広く物事を見渡せる選手です。その視野はサッカーにとどまらず、実業家としても発揮されています。

 このような人物は自分のビジョンに確信が持てるので、説得力のあるロマンや夢を熱く語れます。結果的に教祖のような人望を持つこともあります。そのなかで、ますます「俺が!」となりがちです。少なくとも第1戦後までは、その雰囲気がありました。

人としての成熟を極めたか? あらゆる成功へのカギ

 ところが、その雰囲気は第2戦、第3戦を経るうちに薄れてゆき、仲間や指揮官を気遣う人格者のようになってきました。表情の冴えなさから体調を心配する声もありますが、もし体調が良いなかでこのようなキャラになったとしたら、心理学的には素晴らしい変化といえます。それは、ある理論では理想的な人柄と考えられている「啓発的人間」に近づいているからです。

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