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安易な登山は危険!遭難者急増の実態…多さ目立つ「シニア遭難」、疲労で登山途中に「行動不能」も

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遭難者の51%、死者・行方不明の64.7%は60歳以上

シニアの姿も多い(大分県・久住山の山頂)

 この数年、中高年の遭難件数の多さが指摘されているが、それは「概況」からも明らかだ。遭難者のうち40歳以上が2419人と全体の77.8%を占め、このうち60歳以上は1588人で51.0%。全体の半分が“シニア遭難”である。死者・行方不明者でみると、40歳以上が315人で全体の89.0%と圧倒的。このうち60歳以上は229人で64.7%である。

 シニアの遭難状況を詳しくみると、60歳から69歳が741人(23.8%)、死者・行方不明者は111人(31.4%)、70~79歳が669人(21.5%)、死者・行方不明者は81人(22.9%)、80~89歳が165人(5.3%)、死者・行方不明者は33人(9.3%)、90歳以上が13人(0.4%)、死者・行方不明者は4人(1.1%)となっている。

 60歳以上の遭難者数は13年の1258人から17年には1588人と1.26倍だ。死者・行方不明者数は、13年は204人だったが17年は229人へと1.12倍に増えている。80歳以上だけみても、遭難者数は106人から178人(1.68倍)、死者・行方不明者は25人から37人(1.48倍)へと増加している。超高齢化社会が進行するなかで、元気な高齢者が山に入る機会はますます増えるとみられるが、「過去に山登りをしていた」といった体力の過信は禁物だ。日帰り登山の場合は、登頂までに体力を消耗するケースが多く、下山時は慎重に歩きたい。

 筆者は数年前の秋、北海道の名峰・羊蹄山(標高1898m)を登ったが、その際に7合目付近ですっかりバテて座り込んでいる60代後半の老夫婦と遭遇した。この山は登り口から山頂までの標高差が1500m以上あり、登りだけで4~5時間はかかる。「どうしました?」と声をかけると「疲れてもう歩けんよ」と夫がポツリ。天候は良かったが、樹林帯が途切れる9合目からは風も強くなり、体感温度が下がる可能性があったので「無理はしないほうがいいですよ」と話しかけ、けがや水・食料の有無を尋ねた。幸い、けがはなく、2人分の水と食料も十分にあるようだった。水分とチョコレートで糖分を補給して休憩したら、だいぶ回復したようだった。「残念だけど、今日はここでおしまい。下りますよ」と2人はゆっくりと下山していった。登頂後、下山時にこの老夫婦を見かけなかったから、無事に麓まで下りたようだ。無理をしていたら、どうなっていたかわからない。

 かくいう筆者自身、高知市民に親しまれている郊外の山で、急にバテてしまったことがある。標高400mにも満たない里山である。典型的な“シャリバテ”(食事が不十分でバテること)だった。朝一番の飛行機で高知に向かい、空港で取材してから山に向かったのだが、朝起きてから何も食べていなかったのだ。ザックからおにぎりを取り出して食べ、お茶を飲んでしばらく休憩したら体力が回復した。ちょっとした油断が招いたミスである。

 爽やかな大気、すばらしい眺望。山歩きには最適のシーズンを迎えるが、標高の高さに関係なく遭難の危険性はつきまとっている。入念な準備と無理のないコース選び、信頼できる仲間、そして無理をしないこと。くれぐれも安全登山に努めていただきたい。
(文=山田稔/ジャーナリスト)

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