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「五輪関係者は特別」…選手村から“観光はとバスツアー”、全国の学校で修学旅行中止の一方で

文=編集部
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「Getty Images」より

 4回目となる緊急事態宣言の発令下で間もなく開幕する東京オリンピック(五輪)。またしても、五輪関係者への風当たりが強くなりそうな話題が噴出した。東京五輪の選手村から外国選手らを乗せて都内の観光名所を巡る“はとバスツアー”が計画されているというのだ。

 12日、サンスポインターネット版(サンケイスポーツ新聞社)が記事『東京五輪「おもてなし」外国選手“はとバスツアー”計画 組織委・橋本会長も検討』を公開したことが発端だ。同記事内容に対し、インターネット上では「はとバスツアーで草 修学旅行返せ」(原文ママ、以下同)などと全国各地で中止や“オンライン実施”となっている修学旅行と対比した批判が殺到。同日午前、「はとバスツアー」がTwitter上でトレンド入りした。同記事では「関係者の話」として以下のように計画の概要を記している。

「五輪選手の入村は出場する競技開始の5日前からで、競技終了2日後までには退去を義務付けている。感染対策や時間的な制約があり、日本的な『おもてなし』は村内で完結させる方針だったが、感染防止対策のとられたバスの車内から東京スカイツリー、浅草の雷門、レインボーブリッジなど東京の観光名所を眺める分には一般の人々と接触する機会はなく、問題ないと判断した。

 選手村からは選手、コーチらを乗せて競技会場を往復するシャトルバスが出ている。それを観光用に併用するのか、または外国人向けの英語のバスツアーを多く手がけている観光バス会社を手配するのか、今後詳細を詰めていく」

 この計画に対し、Twitter上では以下のような指摘が相次いでいる。

「今日から4度目の緊急事態宣言で、一生に一度の修学旅行ですら『オンライン修学旅行』で我慢を強いられる中高生もいるというのに、東京五輪は無理やり開催強行で、さらにその上で外国選手に『おもてなし』と称して『はとバスツアー』まで計画しているとのことですが…東京五輪の特別扱いが酷すぎます」

「うちの中3は春にまん防が出て8月に延期になった修学旅行がまたもや危ういと思ってるのに。今回はまん防なら行くとの事だけど神奈川の感染者はみるみる増加。もし緊急事態宣言が出れば中止だというのに」

「はとバスツアー計画、それ、修学旅行ダメになった学生にこそやるべきじゃないのか訴えかける顔やるせないだろうな、リモートトラベラーは」

「はとバスツアー。遠足としてはとても安全で良い…修学旅行とかもなんとか実施できないもんかね〜」

 実際にツアー計画は実現しそうなのか。五輪選手の輸送計画の一端を担う都営バス関係者は次のように話す。

「開幕直前の土壇場で、うちを含め現場に余力はないと思いますが、“はとバス”さんは東京都が大株主です。都幹部の多くが再雇用されて役員を務めています。どこが企画したのかわかりませんが、コロナ禍で都内の観光需要の落ち込みもあり、五輪関連事業の受注で少しでも実績を上げたいという思惑もあるのかもしれません。いずれにせよ東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会や小池百合子都知事が“やれ”というのなら、やると思います」

泡沫の夢“オンライン修学旅行”

 五輪選手団のバスツアーが企画される一方、ネット上から指摘があるように小中高の修学旅行の延期や中止、“オンライン修学旅行”の実施が年明けからごろから本格化し始めている。なかでも、実際に現地に赴くことなくVRゴーグルやタブレット端末を介して、現地ガイドの説明を聞いたり、動画を視聴したりする大手旅行代理店が実施する“オンライン修学旅行”のあり方は常に話題になっている。

 実際にVRゴーグルを使った修学旅行に都内の私立中学3年(当時)の長男が参加した会社員女性は次のように語る。

「京都・奈良へのVR修学旅行に参加しました。いつものように学校に行き、いつもの教室でゴーグルを使い、そして家に帰ってきました。コロナ禍で学校側もなんとか、学びや思い出づくりの場としてそうした修学旅行の実施に踏み切ったのだと思います。VRゴーグルを通じて、奈良、京都の景勝地や寺社をめぐるという内容でした。オンライン授業と同じような要領で、現地の職人の方の指導を受ける工芸体験もしました。

 “清水寺の舞台から飛び降りる”というような、実際の修学旅行では体験できないような映像も用意されていて、長男はそれなりに楽しんでいたようですが……。ただ、ゴーグルを外すといつもの席と教室なので、『なんか盛り上がりが醒めるのが早い』などとも言っていました。

 オンライン修学旅行がカリキュラムとしてしっかりできているのはわかります。ただ修学旅行につきものの、『バス移動中や宿舎でのクラスメートとのやり取り』や『班ですったもんだしながらあちこち回る』という経験をさせてあげられなかったのが、親として心残りです。

 お恥ずかしい話ですが、私自身、修学旅行時代の思い出で強く残っているのは寺社の景色や工芸体験ではなく、宿舎で『先生に隠れて夜通し友人とおしゃべりした』ことです。夫もそれを気にしているようで、家族で中学・高校時代の友人たちとの『面白い思いで話』をしなくなりました。部活の合宿や修学旅行の話がどうしても出てしまうからです。五輪選手のバスツアーには『私たちの子どももこんなに我慢しているからやめろ』とは言えません。身勝手な主張なのかもしれないですけれど、どうしても腑に落ちません。それで安全なら、子どもたちにも同じようなプランでやってほしかったです」

 地域によっては、五輪選手バスツアーのように学校所在地の都道府県内限定で修学旅行を実施するプランが浮上しているところもあるようだが、それもなかなか難しいのが現状のようだ。千葉県内のパート女性は話す。

「中学生の長女の修学旅行をどうするのか学校側と保護者の間で交渉が続いています。通常の対面授業の延長で地元限定の修学旅行を実施しても良いという意見と、それでも子どもたちへのリスクを懸念して中止にすべきだという声が、真っ向からぶつかっています。五輪選手団の“はとバスツアー”の話を聞いて、“五輪関係者は好きなことが好きなようにできていいよね”と思いました。

 子どもには親や学校など、大人たちの論争に巻き込んでしまって本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」

(文=編集部)

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