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山本康博「なぜあの商品はヒットしたのか/しないのか」

流暢な会話ができ、どんどん自分好みになっていくロボット発売…スマホの全機能が搭載

文=山本康博/ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役
流暢な会話ができ、どんどん自分好みになっていくロボット発売…スマホの全機能が搭載の画像1ヒューマノイドロボット型スマートフォン「RoBoHoN」(左)と世界初の感情認識ロボットである「ペッパー」(右)

 シャープは5月26日、東京大学先端科学技術研究センター特任准教授でロボットクリエイターの高橋智隆氏と共同開発した第4世代移動通信システム対応のSIMカード搭載ヒューマノイドロボット型スマートフォン(スマホ)、RoBoHoN(ロボホン)を発売した。高橋氏は、ヒトと機械の関係性を見直し誕生した「新しい相棒」と表現しているように、コミュニケーションのできるロボットだ。

 一部マニアの間で注目を集めており、見た目はただの小型ロボットだが、その実態は背中にタッチパネルが搭載されているスマホというのがコンセプト。筆者も実際にロボホンで写真を撮影したりしてみたが、非常に面白い発想だと感じた。

 過去には1999年にソニーが「死なないペット」として犬型人工知能搭載ロボット「アイボ」を約25万円で発売し、2006年に製造停止したものの有志がいまだ保守点検しているという話は有名だが、ロボホンはさらに進化して電話やインターネット検索、メール、カメラ、プロジェクターなどスマホの機能をしっかりと搭載している上に、会話や質問などもできる。キャッチフレーズは 「ココロ、動く電話」。世界初の二足歩行可能な小型ロボット携帯電話だ。

 果たしてロボホンはヒットするのか。今回はロボホンを分析、紹介してみよう。

先駆けはペッパー

 そもそも対話型ロボットという発想は、ソフトバンクが14年9月に発売した感情エンジンとクラウドAI(人工知能)という技術を搭載した世界初の感情認識ロボットであるペッパーが有名だが、意外と知られていないのは、このペッパーの製造が鴻海精密工業(ホンハイ)だということ。同社は最近シャープを傘下にしたことで、ペッパーとロボホン製造を手中に収めたわけだ。

 話が逸れるが、ロボホンとペッパーの本体価格(月額費用は別)が同じなのが面白い。また、ロボホンはシャープの広島県内の携帯電話工場で組み立てているらしいが、今は実質的にホンハイ。同社はすでにペッパーを生産しているので、シャープの特許やノウハウ、日本の工場をも手に入れて、自社でウルトラAIロボットをつくり出すかもしれない。

 さらにソニーも、5月に出資したベンチャー企業、米コジタイのAI技術を活用して、心のつながりを持ち、育てる喜びや愛情の対象となるロボットを開発すると発表している。

山本康博

山本康博

ビジネス・バリュー・クリエイションズ
代表取締役、損保ジャパン顧問。ブランドマーケッター。日本コカ・コーラ、日本たばこ産業、伊藤園でマーケティング、新商品企画・開発に携わり、独立後に同社を設立。これまで携わった開発商品は120アイテム、テレビCMは52本制作。1年以上継続した商品は計算すると3割以上、メーカー側でマーケティング実績35年。現在では新商品開発サポートのほか、業界紙をはじめとしたメディア出演や寄稿、企業研修、大学等でのセミナー・講義なども多数実施。たたき上げ新商品・新サービス企画立ち上げスペシャリスト。潜在ニーズ研究家。著書に『ヒットの正体』(日本実業出版社)、『現代 宣伝・広告の実務』(宣伝会議)、2016年スタンフォード大学 David Bradford 名誉教授、ボストンカレッジ Allan Cohen 教授の推薦書として、世界に向けて英著、 “Stick Out”a ninja in Japanese brand marketingを全世界同時発売開始。『Stick Out~a ninja marketer』(BVC)、現在ブレイク中で話題のAmazon書籍総合1位も獲得したベストセラー『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版)の一人として8月1日執筆など。

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