『ガイアの夜明け』はテレビ東京系で火曜日22時から。
(「ガイアの夜明けHP」より)
ーー『カンブリア宮殿』『ガイアの夜明け』(共にテレビ東京)『情熱大陸』(TBS)などの経済ドキュメンタリー番組を日夜ウォッチし続けている映画監督・松江哲明氏が、ドキュメンタリー作家の視点で裏読みレビュー!
今回の番組:11月20日放送『ガイアの夜明け』(テーマ:町工場からお茶の間へ!~職人たちが大ヒット商品を生んだ~)
『ガイアの夜明け』(テレビ東京)は常に愉快痛快だが、今回はいつもよりその度合いが高かったような気がする。
町工場の中小企業のおじさんたちが大ヒット商品を作り、遂にはアメリカ大陸にまで達してしまうという内容だったからだろうか。なんか違うな。もっと軽いのだ。その理由はなんだったんだろう、と録画した番組をもう一度見直した。で、気づいてしまった。
その理由はダジャレだった。
穴が潰れてしまったネジでも、頭に1mmの浮きさえあれば外せるのが可能な工具はネジザウルス。ネジに噛み付く恐竜をイメージしているかららしい。で、この商品がアメリカに輸入される際には、吸血鬼(バンパイア)と工具(プライヤー)を合わせてバンパプライヤーズとなる。「恐竜は可愛らしいイメージなので、これでは売れない」という理由らしい。
持ち手の部分が、恐竜の時は緑だったが、今度は赤。高崎社長も笑いながら改名を了解していた。早速グリップの作成依頼に向かう。国内生産を厳守したい社長は小さな工場へ。そこでは老夫婦がグリップをせっせと作っていた。
奥さんはキャメラを意識しているのか、お化粧をしている。それがなんだか可愛らしい。「うちの(ような)小さいところでできたものが、アメリカに行くのは誇りに思います」と照れながらコメントする。
そして、高崎社長の快進撃は止まらない。
ホームセンターでは子ども向けに恐竜のぬいぐるみをかぶり、製品をアピール。奇抜な格好で興味を引き、とにかく商品を手に取ってもらうのだ。僕も自転車に乗るので、錆びたネジは天敵だ。ウチにあるドライバーでは空回りしてしまい、結局は自転車屋でちょっといじられて千円が飛ぶ。ネジザウルスなら2180円で買えてしまう。うん、これは欲しい。120万本が売れたのも納得だ。
さらに勢いに乗る社長は、歌まで作っていた。緑色のTシャツを着た社員一同、ノリノリで歌う。「頭のつぶれたネジ 茶色にさびたネジ そこらのやつには外せない 一家に一本ネジザウルス! 出番だよ!」商品の特徴そのまんまな歌詞に思わず苦笑いだが、社長は「イエーイ」と笑顔で締める。
番組では、このほかにもヒット商品が紹介された。