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西武HDvsサーベラスの対立構図を解き明かす

【追記あり】西武HDの背後にJR東海!? TOBで激化するサーベラスとの攻防に政府も参戦!

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 今度はサーベラスに担がれて西武HDの社長候補だ。外資系投資ファンドに担がれたことについての是非は、別に譲る。

 対する西武HDの後藤高志社長のもとには、安倍首相の応援団が助っ人に駆けつけた。後藤氏は成蹊学園OBで構成されている安倍晋三後援会「晋成会」会長だ。安倍氏は成蹊小学・中学・高校・大学(法学部政治学科)と生粋の成蹊マンだ。

 後藤氏は成蹊中学・高校を経て東京大学経済学部に進学。卒業後、第一勧業銀行(現・みずほフィナンシャルグループ)に入行。第一勧銀の総会屋利益供与事件の際、経営陣に退任を迫り、改革に立ち上がった中堅行員「四人組」のリーダー格。高杉良氏の小説『金融腐食列島2  呪縛』や、役所広司主演の映画のモデルといわれた人物だ。

 安倍政権のスポークスマンである菅義偉官房長官は、サーベラスのTOBについて「(西武HDは)地域の交通移送の役割を果たし、(保有するプロ野球)球団にも多くのファンがいる。できればあまりに先鋭的な形にならないよう解決することが望ましい」とする談話を発表した。一民間企業のM&Aに、政府が口を挟むのは極めて異例なことだ。

 サーベラスのTOBの対抗策について助言を与える有識者会議には、安倍首相の経済指南を務めるJR東海の葛西敬之会長や富士フイルムホールディングスの古森重隆会長が馳せ参じた。葛西氏は安倍氏が内閣官房副長官時代に次世代の経営者を集めた「四季の会」をつくり後見役になった。小泉首相の後継者として06年9月に安倍氏が第90代内閣総理大臣に就くと、葛西氏らの「四季の会」の面々が経済ブレーンになった。安倍氏は首相在任中、古森氏をNHKの経営委員長に起用した。

 だが、第1次安倍政権は短命に終わり、07年9月、安倍首相は辞任。浪人となった安倍氏を支え続けたのが葛西氏だ。葛西氏と古森氏が発起人となり、「四季の会」の後継組織「さくら会」をつくった。安倍氏が病気による首相退任で影響力を失った後も、熱心に応援を続け、再登板を働きかけてきた。安倍氏が自民党総裁選に勝利し、12年12月、第96代内閣総理大臣に返り咲いたのは、「葛西氏と古森氏の『さくら会』のお蔭だ」と見ている永田町の住人もいるほどだ。

 この2人の大物経済人が、後藤・西武HD社長の助っ人に駆けつけた意味は大きい。

 有識者会議の初会合が3月19日に開かれた。会議では(予想通り)「サーベラスのTOBに反対すべきだ」との意見で一致した。西武HDはこの助言をもとに取締役会で議論して、サーベラスの提案に対する反対(意見)を3月26日までに表明する段取りだ。

 有識者会議のメンバーの古森重隆氏は終了後、記者団に「西武HDの事業は鉄道やホテルなど公共性が高い。一部の株主の利益を代弁することはそぐわない」と、反対の理由を説明した。

 サーベラスはTOB発表時点で「10営業日以内に(西武側が)意見を表明すること」を求めていた。

 サーベラスに担がれた元金融庁長官の五味廣文氏は、西武HDの社長の座を射止めることができるのだろうか。それとも葛西敬之氏らの鉄壁の防護策に跳ね返されて晩節を汚すことになるのだろうか。

 西武HDvsサーベラスは、経済案件ではなく、政治問題の様相を帯びてきた。
(文=編集部)

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