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「【小説】巨大新聞社の仮面を剥ぐ 呆れた幹部たちの生態<第2部>」第69回

社長も編集長も不倫まみれの巨大新聞社、刷新なるか!?~いよいよ週刊誌暴露へ

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 残りの4枚は翌朝の写真だった。最初の1枚は午前7時4分、ホテル玄関で迎えの社用車に乗り込む松野、2枚目は午前9時15分、ホテル地下1階の地下鉄に通じる出入口を出る香也子の姿をとらえていた。そして、最後の2枚は午前9時半前後に松野が社用車でホテルに戻り、また社用車に乗り込み出て行く姿をキャッチしていた。

 8枚の写真のうち、28日午後9時台の3枚目と4枚目の写真は吉須が深井と一緒にバー「リバーサード・スコッチ」で飲んだ時に遭遇、想像を巡らせた推測を裏づけていた。

 深井の取った封筒には日亜の村尾の不倫現場の写真16枚が入っていた。新鮮で、一枚一枚丹念に目を凝らした。吉須が二つの封筒の写真を見終わっても、まだ見ていた。

 最初の3枚は2月28日午後10時20分、村尾がタワー二番町に帰ってきたところ、2枚目と3枚目は38分後に由利菜がマンションに入り、午後11時34分に出る姿だった。次の3枚は5日後の3月5日午前中に由利菜が自宅の左内坂町ハウスを出て、タワー二番町に入り、到着したトラックの荷物の運びこみを指示している姿だった。

 残りの10枚のうち8枚は5日と6日の夕刻に二人がばらばらにタワー二番町を出て約1時間半後に戻ってくる場面だった。最後の2枚は7日朝、由利菜がタワー二番町から出勤するところ、そして、左内坂町ハウスの郵便受けに新聞が溜まっている様子が写っていた。

「吉須さんが目撃した時に撮ったような写真が2枚ありますよ。1枚は村尾のタクシーを追いかけた時。もう1枚はマンションのところに引っ越しの荷物を運びこむトラックが止まっていたと言っていたでしょ、多分、その時のですね」

 深井は見終わると、手持ち無沙汰の吉須に渡した。

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 満足げな顔つきの太郎丸はパイプの煙をくゆらせながら、吉須と深井の二人が三つの封筒の写真を見終わるのを待っていた。そして、二人が見終わると、徐に口を開いた。

「どうじゃ。結構、ええ写真が撮れちょるじゃろ」
「この写真が全部『深層キャッチ』に載るんですか。ちょっと多すぎませんか」
「お主も記者じゃろうが。全部載りよるわけないじゃろ。編集部が記事に合わせて必要な写真を載せよるんじゃ。当たり前じゃろ」

 太郎丸は真に受けて意気軒昂だったが、わざととろい質問をした深井は頭を掻くような素振りをしたが、吉須は手厳しかった。

「会長、これでは駄目ですね。決定的なのが1枚もないじゃないですか。どれを使うのか知りませんが、いくらでも言い逃れができますよ。法的には不倫の立証にはなりません」

 その冷めた口調に、太郎丸は表情を一変させた。

「水をかけよるようなことばかり言いよるがじゃな。なぜお主らに週刊誌の取材を受けてもらっちょったか、わからんのか。写真で足りん分を記事で補ってもらっちょるんじゃ」
「会長、僕らの話したことは99%、事実です。でも、立証はできないんです。とにかく、記事を補強するのは写真なんです。その写真に決定的なものがない以上、駄目なんです。大体、そういう状況を作ったのは会長自身じゃないですか」

 太郎丸は怒髪天を衝くような表情で、身を乗り出したが、言葉が出なかった。

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