ロイヤルホストの店舗(「Wikipedia」より/Tokoroten)
●不振にあえぐ外食産業
4月の消費税増税後、外食大手が軒並み不振に陥っている。
復活したといわれたファミリーレストランチェーンでは、サイゼリヤやジョイフルといった低価格ファミレスの既存店売上高は前年割れが続いており、好調を続けていたロイヤルホストも6月からマイナスに転じた。ガストは1~9月期で100.8%、4~5月は好調だったが、その後横ばいが続いている。デニーズは上期合計で100.9%とプラスだが、客数は減少している。
牛丼では吉野家が99.6%(2014年度上期)、すき家が96.9%(同)と不振の一方、「プレミアム牛めし」が売れた松屋は102.3%(同)と明暗が分かれた。
「JMR生活総合研究所 HP」
注目したいのは、価格を武器に成長を続けてきた大手外食企業が不振に陥っていることだ。
●デフレビジネスモデルは通用しない
価格を武器に成長してきた企業の基本戦略は、次のように解釈できる。
ひとつは、低価格メニュー・フォーマットの開発である。250円の牛丼、100円マック、全品280円の居酒屋など、他店より安いメニューの業態をつくる。これを実現するためコスト構造を抜本的に見直す。業界では30%といわれる原価率を徹底して削減し、正社員を減らしアルバイトやパートの社員を増やすことで、人件費を変動費化しコスト競争力を高める。
『ジェネレーショノミクス:経済は世代交代で動く』( 東洋経済新報社/松田久一)
不振の要因は、こうしたビジネスモデルが崩壊しつつあるということである。日本経済新聞の調べでは、外食、小売業主要74社の人件費は前年比で7%と大きく増加した。景気回復に伴う人手不足からアルバイトの賃金が上昇し、人材確保競争に負けているのである。また、大量の出店戦略も限界にきている。人手不足による出店困難化に加え、出店余地も少なくなっていくという、外食産業の宿命というべき問題に直面しているのだ。