桜蔭学園(「Wikipedia」より/杉山真大)
東京大学のトップは開成高校、次いで筑波大学附属駒場高校、灘高校だ。京都大学は西大和学園高校がトップ、次いで洛南高校と、おなじみの顔ぶれが並んだ。
西大和が京大合格者数で初めてトップになったが、同校は前年2位の常連校であり、それほど意外性はない。成熟国家の宿命というべきか、進学校の序列も岩盤のように固定化している。
合格者の数だけを取り上げたランキングが幅を利かせ、進学校の価値やブランドを決定づけてしまう現状はどうなのだろうか。進学校の実力をより正確に測るのであれば、以下の二つの条件を加味するべきだ。
まずは、性別による差を考慮することだ。国内最難関である東大、京大の合格者数の男女比は、この数年、ほぼ4対1で推移している。合格者数の8割は男子が占めるわけだ。当然、男子校は合格者数において有利になり、女子校や共学校は不利になる。
また、各校の生徒数も加味しなければならない。一般的に、公立校の定員はほぼ同じ(200~300人台)だが、運営面の規制が少ない私立校の場合は100人未満から1000人前後までさまざまだ。私立の“自称進学校”の中には、公立の倍以上、中には3倍近くの学生を擁するところもある。数の力で進学実績を高めているわけだ。
東大、京大の合格者数を、男女比および各校の定員(在籍学生数)を考慮して修正すると、どのようになるのだろうか。まずは事前に、教育関係者および教育に関心の高い保護者に結果を予想してもらった。
「筑波大学附属駒場高校がトップでしょう。学生数は開成高校の4割くらいだったはずです」(私立校の講師)
「京大を含めるのであれば、やはり灘高校が1位ではないでしょうか」(私立の進学校に通う高校生の保護者)
トップは意外な結果に
進学率の高さを論じるウェブサイトを見ても、両校を「最強の進学校」とする意見が多いようだ。しかし、結果はさにあらず。本命視された両校をしのいでトップになったのは、「女子校最難関」の呼び声も高い桜蔭学園高校だった。
東大、京大ともに女子の比率が少ないという事情はあるが、他校を大きく上回る合格率は特筆すべきだろう。同校は、1994年から22年連続で東大合格者数ランキング10位以内に入っており、高い進学率は決してフロックではない。
全国区の有名進学校が並ぶ「修正合格率」ランキングで目を引くのは、甲陽学院高校だ。地元の兵庫県では、灘高校の陰に隠れて「二番手」のイメージが強いが、東大、京大ともに高い実績を挙げている。同様に、12位に入った大阪星光学院高校にも注目したい。定員200人前後と小規模ながら、高い進学率を示している。