塩崎大臣の発言は国会でも取り上げられ、4月24日の衆議院厚生労働委員会で民主党の山井和則議員が「(残業代ゼロ制度の対象となる下限年収である)1075万円は高すぎるけれども我慢してほしいという趣旨のことをおっしゃったと聞いているのですが、そういう趣旨の話はされませんでしたか」と質問し、塩崎大臣はこう答えている。
「1075万円というのでお願いするということでありますから、それが高いだとか、低いとか、そんなようなことは私は言うはずもないと思います。ただ、申し上げているように、記録が残っているわけではないので、正確に一字一句どう言ったかはよく覚えておりません」(厚生労働委員会速記録より)
塩崎大臣は「記録が残っているわけではない」と言い、同センター事務局もレコーダーでの記録や速記も取っていなかったらしい。しかし、その後、音声記録が存在していたことが明らかになり、現在ブラック企業被害対策弁護団のHP上にアップされている。その声はまさしく塩崎大臣の声であり、同HPによればこう述べている。
「高度プロフェッショナル制度はまあ、1000万円以上もらっている人って、実は働いている人の4%くらいしかいないんですね。そのうちの1.5%は役員ですから、残り2.5%でそれも希望者だけとなればものすごく少ないところでスタートするんですけど、まあ、我々としては小さく産んで大きく育てるという発想を変えて、まあ、時間法制ではかからない、労働時間法制はかからないけど、健康時間ということで別の論理で健康はちゃんと守って、だけどむしろクリエイティビティを重んじる働き方をやってもらうということで、まあ、とりあえず入っていくので、経団連がさっそく1075万円を下げるんだといったもんだから、まああれでまた質問が無茶苦茶きましたよ。ですから皆さん、それはちょっとぐっと我慢していただいてですね、まあとりあえず通すことだと言って、合意をしてくれると大変ありがたいと思っています」
【音声はこちら】
http://black-taisaku-bengodan.jp/siozakihatsugen/
対象者の拡大を“約束”
この発言を聞く限りその趣旨は、年収要件の1075万円という対象者がものすごく少ないところでスタートするが、「小さく産んで大きく育てる」という発想に変えて、とりあえず制度を導入するので、経営者の皆さんは我慢してとりあえず法案を通すことに合意をしてほしいというものだ。