こうした状況の中で、日本人向けにゴーゴーバー投資詐欺をしていた人物も軍とのつながりは少ないことが多く、この手口の詐欺がやりにくくなっているという。
そこで詐欺師たちが新たなビジネスとして「東南アジアの不動産投資詐欺」を始めており、現地では不動産業界における投資詐欺が増えてきているという。
日本でも闇金業者の摘発を強化した結果、彼らが“オレオレ詐欺”を大規模に展開するようになったが、タイでは、投資詐欺が減ったら不動産投資詐欺が広がっているというわけだ。今回はそんな現地の状況を取材した。
アジア不動産投資のリスク
東南アジアの不動産投資は、今後の成長期待より海外からの投資需要が高まっている一方、需要の高まりに目をつけた詐欺師による被害も増加している。昨年も架空のカンボジア不動産投資をもちかけたとして、FIRST不動産の経営陣ら13人が日本で警察に逮捕された事件が報じられたばかりだ。
東南アジアでは他にも、カンボジアでコンドミニアム(マンション)などの不動産開発には免許が必要なのだが、その免許もなく、さらに土地すら購入していなかった日本の不動産業者が「コンドミニアムを開発する」と日本人に宣伝し販売していた事が発覚した事例もあった。
カンボジアの不動産開発免許を得るためには、過去に同国以外も含めて重大な犯罪歴がないことを証明しなければならない。しかし同法人の社長は過去に、沖縄の自宅に拳銃を隠し持っていたとして沖縄県警に摘発、逮捕され、懲役刑で有罪が確定し懲役を受け、出所してまだ数年の人物だった。そのため、同社が不動産開発免許を得られる見込みなど最初からあるわけがなかったという。なお、この会社の不動産事業は、現在は事業譲渡というかたちをとり、会社名が変わった上で、現在も一般の人向けに東南アジア不動産販売として営業が行われている。
他にも、東南アジアのタイの不動産業界などでも似た事情がある。
東南アジアの日本人向けにはタイ南部の日本人街、シラチャの不動産が、日本人が多く定住するため不動産価格が上がるとして、日本人向けに多く販売されている。
【参考記事】
14年12月29日付当サイト記事『【現地ルポ】タイで不動産バブル?日本企業殺到で不動産高騰の街値崩れの不安材料も』
「日本人経営」の罠
そのタイの日本人向け不動産販売でも、一部に不穏な動きが起きている。現地の不動産業者は語る。