ビジネスジャーナル > ライフニュース > ギャンブル依存症の悲惨すぎる実態
NEW

覚せい剤より危険?ギャンブル依存症が悲惨すぎる!完治不可、家族全員共倒れも

文=鉾木雄哉/清談社
【この記事のキーワード】, , ,
覚せい剤より危険?ギャンブル依存症が悲惨すぎる!完治不可、家族全員共倒れもの画像1「Thinkstock」より

 厚生労働省研究班の調査によると、覚せい剤や大麻など違法薬物の使用経験者は国内に推計約276万人、パチンコや競馬などがやめられない「ギャンブル依存症」の疑いがある人は、薬物使用者の約2倍に当たる推計536万人も存在するという。

 薬物依存症よりも深刻な社会問題となっているギャンブル依存症とは、どんなものなのか。この問題の啓発活動を行っている「ギャンブル依存症問題を考える会」代表の田中紀子氏に話を聞いた。

ギャンブル依存症患者の脳内で起きる変化

「ギャンブル依存症とは、個人の資質や性格ではなく、ドーパミンの機能不全が原因で発症する脳の病気のことです。『やめたい』という意思がありながらもやめられないという時点で、依存症の疑いが強くなります」(田中氏)

 ドーパミンとは、快感や興奮を促すことから「脳内麻薬」といわれる物質で、ギャンブルの刺激によって過剰に分泌されると依存症を引き起こす可能性がある。

 また、注意力や判断力を高めるノルアドレナリンが分泌されれば冷静な判断を保つことができるが、ギャンブル依存症患者の場合、このノルアドレナリンの分泌量が少なくなる傾向があるという。その結果、ギャンブルに熱くなりすぎて財産をつぎ込んだり、使ってはいけないお金にまで手を出したりしてしまうのだ。

 ギャンブル愛好家の多くは、同じような経験が1回や2回くらいはあるはずだが、それなら、「愛好家」と「依存症」の境目はどこにあるのだろうか。 

「愛好家と依存症の大きな違いは、借金を繰り返すかどうかです。依存症になると、収入の範囲を超えて借金を繰り返し、まわりに迷惑をかけるなど、自分の欲求をコントロールできなくなります」(同)

 田中氏の見解では、自分の収入の範囲内であれば、たとえ1億円をギャンブルに使っていたとしても依存症ではない。金額の高低は関係なく、自分の持っている金をすべてつぎ込み、さらに借金を繰り返してまでギャンブルを続けていることが、依存症である決め手になるという。

ギャンブル依存症は遺伝する?

 ギャンブル依存症問題を考える会に相談に来る人に多いのが、学生時代に部活に打ち込むなど、スポーツで結果を出したことのある人たちだ。なかには、プロ野球のドラフト会議で指名された経験がある人もいるという。では、なぜスポーツエリートがギャンブル依存症に陥ってしまうのだろうか。

「ひとつのことにのめり込みやすい人や努力家と呼ばれる人は、ドーパミンが分泌されやすい体質であることが多く、目標を失った時に手近なギャンブルにハマってしまうのです。また、ギャンブル依存症になりやすいかどうかには、遺伝的要因もあります」(同)

 最近の研究では、ギャンブル依存症には遺伝も関係していることが明らかになっている。米ミズーリ大学の研究チームは、家系にギャンブル依存症患者がいる場合、少なくとも20%がギャンブル依存症もしくは予備軍であるという調査結果を発表した。

家族でも、借金の肩代わりは絶対NG!

 原因がドーパミンの過剰分泌か、それとも遺伝的なものなのかはわからないが、身近にギャンブル依存症の人がいると、周囲の人間が苦しむ結果になることが多い。

 なかには、善意から、ギャンブルによってつくった借金を肩代わりしてあげようとする人もいるかもしれない。しかし、田中氏は「借金を肩代わりする行為は、絶対にしてはいけない」と語る。

「たとえ家族でも、借金を肩代わりするのは依存症の回復を大幅に遅らせてしまうだけなので、絶対にしてはいけません。ギャンブル依存症は、周囲の金銭的サポートを失った時に初めて進行が止まり、治療への道が開ける病気なのです」(同)

 つまり、ギャンブル依存症患者に対しては「何もしない」ことが最大のサポートになるのだ。借金を肩代わりしても、問題を先延ばしにするだけで何も解決しない。さらにギャンブル依存症が進行して財産を使い果たし、周囲を巻き込んで共倒れにもなりかねない。

 実際、裕福な家庭であるほど何度も借金を肩代わりして、結果的に治療が遅れ、悲惨な結果になってしまうという事例も多い。

「ギャンブル依存症は糖尿病と同じように、改善はしても完治することはない病気です。糖尿病患者が糖質制限をするように、ギャンブル依存症患者はギャンブルを制限して生きていくしかありません。そのためにも、自助グループなどのケア団体と関係を持ち、常につながっていることが大事です」(同)

 依存症の人に必要なのは、説教ではなく「やめ方」である。ギャンブル依存症を「だらしない人間」の末路として捉えるのではなく、誰もが陥る病気と認識して、正しい治療法を啓発していくことが重要だ。
(文=鉾木雄哉/清談社)

清談社

清談社

せいだんしゃ/紙媒体、WEBメディアの企画、編集、原稿執筆などを手がける編集プロダクション。特徴はオフィスに猫が4匹いること。
株式会社清談社

覚せい剤より危険?ギャンブル依存症が悲惨すぎる!完治不可、家族全員共倒れものページです。ビジネスジャーナルは、ライフ、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!