「医師、看護師の尽力のおかげ」と豊岡市

 在宅死をめぐる中規模自治体での差が5倍近い現実をどうとらえたらいいのか。地域の医療態勢、とりわけ訪問診療態勢への取り組みの差が、端的に数字に表れているのだろうか。

 今回の発表でトップになった豊岡市と最下位の蒲郡市のデータを比較してみた(14年1月1日時点)

【人口( )内は65歳以上】 豊岡市 8万6179人(2万5312人)、蒲郡市 7万9690人(2万1723人)
【在宅療養支援診療所】 豊岡市 20、蒲郡市 10
【一般診療所総数】 豊岡市 67、蒲郡市 63
【訪問診療実施診療所】 豊岡市 28、蒲郡市 14
【訪問診療実施件数】 豊岡市 463件、蒲郡市 526件
【看取り実施診療所】 豊岡市 12、蒲郡市 1
【訪問看護ステーション】 豊岡市 6、蒲郡市 3
【24時間対応職員数】 豊岡市 21人、蒲郡市10人

 両市は人口でみると、ほぼ同じ規模の自治体だ。一般診療所の総数もほぼ同じ。典型的な地方都市の医療態勢である。大きく異なるのは、在宅診療支援診療所、訪問診療を実施している一般診療所の数だ。豊岡市は蒲郡市の2倍。訪問看護ステーションの数も2倍だ。さらに訪問看護ステーションの24時間対応職員数も2倍となっている。

 豊岡市は、それだけ訪問診療態勢に力を入れているということだろうか。そこで、豊岡市の担当者に話を聞いた。

「実は今回の結果は、『なんでだろう』というのが率直な感想です。市民のアンケートでは“最期は家で”という回答が多く、結果的に方向性としては間違っていないとは思っています。ただ、市として積極的に取り組んできたのかといわれると、『そうです』とも言えません。地元の医師の方、看護師の方のご尽力のおかげかと思います。開業医の先生方と公立病院の連携がうまくいっていることも、こうした結果につながったのでしょうか」

 なんとも謙虚な答えが返ってきた。話を聞くなかで一言、印象に残る言葉があった。

「豊岡市の開業医の平均年齢は64歳です。10年後は74歳になってしまいます。その時、これまでのように訪問診療ができるのかどうか。市としてはこうした問題も含めて、今後の在宅医療問題を考えていきたいと思います」

 在宅医療、在宅死というと、患者サイドからの要望や発想に偏りがちだが、それを担う医師たちの高齢化という現実も厳然とした事実としてある。

 どこで、どんな最期を迎えるのか――。今回の厚労省調査で、「死に場所」という人生最後のテーマのカギを握るのは、自治体の態勢によるところが大きいという事実が浮かび上がった。しかも、医師の高齢化という問題が顕在化してくるなかで、自治体の対応は厳しさを増すことになる。
(文=編集部)

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