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東京五輪、通勤ラッシュ時に92万人の観客等が雪崩れ込みも…都民の生活麻痺の懸念

文=小崎仁久

 経費を削減しているのは、どの競技場でも感じられた。マラカナン競技場(開閉会式、サッカー)、マラカナンジーニョ(バレーボール)は既存の設備だが、五輪用の装飾は最低限なものになっており、最寄り駅での案内板は見つけにくい。アプローチ道路にも垂れ幕などは少なく、道に迷うところだった。

 それはオリンピックパーク(メイン競技場)でも同様で、以前はF1も開催していたサーキットだった広大な敷地に9つの競技場を新設したのだが、パーク内のマップがほとんどなく、自分がどこにいるのかよくわからない。トイレも少なく、場所によってはかなり歩かされるなど不便を感じることが多かった。

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懸念されていた公共交通機関

 また、もっとも懸念されていたのが公共交通機関。29の競技場が4つの地区に分かれているが、その地区間が離れており、街の中心部とオリンピックパークは40kmもある。ブラジルは公共投資がなかなか進まず、リオデジャネイロも公共交通機関が発達していないため、五輪に合わせて約45億ドルを投じて地下鉄の新規路線、BRT(バス高速輸送システム)などを整備した。

 しかし、このBRTも完成が遅れ、もっとも重要なオリンピックパークとコパカバーナを結ぶ地下鉄4号線(実質これでしか移動できない)に至っては、開通したのが開幕の4日前だ。

 4号線には、五輪期間中は観戦チケットを持っていないと乗車できないため、新型車両の上、安全性も高いため悪くはなかったが、自慢の冷房装置は寒いぐらいだった。

 ただし、中心街からは地下鉄1号線から乗り継ぎ、さらに4号線の終着駅からBRTに乗り換えないとオリンピックパークにはたどり着けない。専用の交通機関とはいえ、なかなかの長旅だった。

 4号線もBRTも短い間隔で運行しており、それほど混むことはなかったが、従来からある地下鉄1号線などは市民の足になっているので、朝夕を中心にかなり混雑していた。競技場の最寄り駅以外は五輪の雰囲気はほとんどなく、最寄り駅でもボランティアが少ないため、乗り過ごしそうになったことは1度ではない。

 五輪期間中のBRTは、ほぼ専用になっているため競技場へ行くにはいいが、途中の駅にすべて止まるわけではない。何も説明がないため降りたい駅を2度も通過することになった。あとで駅にいたボランティアに聞くと、「昨日駅ができたばかりなのでわからないのよ」と言う。

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