ビジネスジャーナル > 社会ニュース > 長谷川慶太郎が見る米大統領選の行方  > 2ページ目
NEW
長谷川慶太郎インタビュー

トランプの差別主義的暴言は米国民の本音ゆえ熱狂…農家間で家畜&家電の盗難が多発?

文=編集部

アメリカの農家では夜逃げが日常茶飯事?

「資源が豊富なコロラド州の、ある農家を訪ねた時のこと。その農家は、380エーカー(約154万平方メートル)の広大な農地を持っていたが、年収はわずか8000ドル(約80万円)という低さだった。また、そのわりには設備投資などに多額のお金をかけているので、農家の経営はどこも苦しい。そのため、そうした農民たちは『外国人にお金を使わず、国内に目を向けてくれ』というわけだ」(同)

 また、アメリカの農家で日常茶飯事なのが、いわゆる夜逃げだという。

「私が訪れた農家のリビングには、大きなテレビが2台もあった。聞くと、『1台は買ったが、もう1台は夜逃げした近所の家から持ってきたものだ』という。アメリカの農民は、経営に行き詰まると車に積める限りのものを積んで、夜中のうちに逃げてしまう。その農民は、『夜逃げがあると、すぐにわかる。朝になっても水や餌をもらえない家畜が騒ぎだすから』と言っていたよ。

 もちろん、近隣の農家にもすぐに伝わる。そして、彼らは、残された家畜はもちろん、電化製品や家具、食器、ガラスや床板まで持ち去っていくのだ。先ほどのテレビも、そうした“収穫”のひとつというわけだ。債権者である銀行は最後の最後にやってくるが、その頃にはすっからかんで屋根と柱だけ……ということも珍しくない。

 また、当時、州政府の役人のデスクには、『農地をシェールガス掘削の試掘のため貸し出したい』という農家からの申請書が2メートル近くも積み上げられていた。100エーカーの土地を国に貸し出すと、年間5000ドルの賃貸料が支払われる。たった50万円ほどだが、年収80万円の農家にとっては大きな収入といえるだろう」(同)

トランプの暴言が代弁した米国民の本音

 大統領選のゆくえに伴って、オバマ政権下で進められた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の批准についても注目が集まっている。現在、トランプ氏もヒラリー氏も、TPPについては反対を表明しているからだ。特にトランプ氏はいち早く離脱の意思を表明して支持を集めた。

「もともと、アメリカは土地が安い。また、国土の60%以上は国有地であり、その多くが牧場になっている。オバマ大統領の就任以降、穀物相場は上昇し続け、今年に入ってからは一段落しているようだが、農家の経営状況は苦しいながらも好転しつつある。国有地の払い下げが進み、牧羊地を農地に転用すれば、その分収入が増える状況も生まれた。そんななかで、農家がTPPを含むリベラル派の改革を望まないのは当然だろう。

 農業、建設業、製造業など、アメリカの伝統的産業に従事する白人たちの『言いにくかった本音』を、トランプは『暴言』というかたちで代弁した。それが、トランプの大躍進につながった。これが、アメリカの現実である」(同)

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

『最強の日本経済が世界を牽引する』 2017年、最強の日本経済が大きく動く! その時期を見逃すな! GDP世界ナンバー1の国の米大統領が変わることでどうなるかを、一般サラリーマンにもわかりやすく最新情報で解説。対日政策が大きく変わる2017年、日本経済が大きく動く重要懸案を投げかける。 amazon_associate_logo.jpg

トランプの差別主義的暴言は米国民の本音ゆえ熱狂…農家間で家畜&家電の盗難が多発?のページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , , , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!