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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

韓国企業、日本の技術供与薄れ存亡の危機に…鉄鋼大手ポスコも新日鉄の技術盗用で苦境突入

文=渡邉哲也/経済評論家
韓国企業、日本の技術供与薄れ存亡の危機に…鉄鋼大手ポスコも新日鉄の技術盗用で苦境突入の画像1韓進海運のタンカー(写真:ロイター/アフロ)

 本連載前回記事で、サムスン電子や現代自動車の現状について論じたが、今回は、また違った観点から韓国経済の苦しい現状を見ていきたい。

 鉄鋼業界では、最大手のポスコが苦境に立たされている。2012年に新日本製鉄(現・新日鉄住金)が方向性電磁鋼板の知的財産権の侵害を理由に、約1000億円の損害賠償を求めてポスコを提訴した。これは、つまり「ポスコが不正な手段で新日鉄の技術を盗んだ」ということだ。

 ポスコが新日鉄に300億円を支払うことで15年に和解したが、ポスコから新日鉄にライセンス料を支払うことや販売可能地域を制限することなどの条件が課せられた。事実上、もはやポスコに付加価値の高い方向性電磁鋼板の生産能力は皆無というわけだ。

 ただでさえ、中国のダンピングによって鉄鋼価格は下がっているため、ポスコはつくればつくるほど赤字になる状況といっても過言ではない。もともと製鉄では、一般の粗鋼よりも方向性電磁鋼板などの特殊鋼のほうが利益率が高い。ポスコは、その特殊鋼の生産を新日鉄に管理されているわけで、いわば生殺与奪の権を握られているようなものである。

壊滅的な韓国の海運・造船

 また、韓国経済のもうひとつの問題は、政府が海運会社を救済しなかったことで物流に混乱をきたしたことだ。8月に海運最大手の韓進海運が経営破綻したが、2位の現代商船も以前からの厳しい状況に変わりはない。

 海運会社と造船会社は表裏一体の構造になっているため、造船会社も経営危機に瀕しており、現代重工業やサムスン重工業などの大手は莫大な損失を抱えている。これは、生産できる技術もないのに受注したため、結局納品できずに多額の違約金を支払っているからだ。

 韓国の海運・造船業は、日本の後を追いかけるかたちで石油プラットフォームやプラント事業などの重工業部門に転向してきた。しかし、これまでは日本からの技術供与があったために事業を拡大することができたものの、自国に技術やノウハウの蓄積がないために、もはや立ち行かなくなっている。

 当然ながら、インフラ輸出はまったく進んでいないのが実情であり、そういった問題も韓国経済の苦境を示しているといえるだろう。

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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