岡山県高梁市は11月1日、レンタル大手TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)を指定管理者とし、管理・運営を任せた図書館を、来年2月4日にオープンすると正式発表した。
駅前に完成した4階建ての複合ビルに、賑わい創出の目玉としてCCCがプロデュースするカフェや書店を併設する滞在型の新図書館がオープンする計画で、佐賀県武雄市、神奈川県海老名市、宮城県多賀城市に続いて、全国で4例目となる“ツタヤ図書館”だけに、かねてより注目を集めていたのだが、驚いたのがその人事である。
新聞報道等で、新図書館の館長として名前が挙がったのは、高梁市教育委員会の委員長だった藤井勇氏だ。教育委員としての任期は、2013年11月16日~17年11月15日までとなっていたが、任期を1年以上残して今年9月30日付で退任していた。
さらに取材してみると、10年3月に同市内の小学校校長を定年退職した後は長年、地元教育界で活躍されていて、「10月1日からCCC社員として入社したと聞いています」(市議会関係者)とのこと。
ある図書館関係者は、これは信じられない人事だと指摘する。
「新図書館の指定管理者を決めたのは、市教委です。その部署の委員長が、指定管理者となった会社に就職するなんて、そんなあからさまな天下りが許されるのでしょうか」
教育委員会組織は、委員会の下に事務局があり、その下に図書館がある。その図書館の運営を担う民間会社に、市教委では「教育長に次ぐナンバー2」といわれる委員長が就任するわけで、まさに「天下り」といえる。教育委員は特別職なので、地方公務員法の規制は受けない。したがって違法行為ではないが、仕事を依頼する側の責任者が、依頼を受けた側の責任者に就任するということは、道義的な問題が生じる恐れはある。
この点について高梁市社会教育課の担当者は、「教育委員会としては退職者の再就職にはとやかくいう立場にはない」と説明する。
また、ある市議会関係者も、この人事について肯定的に話す。
「高梁市の場合、指定管理者を公募していないんです。基本合意を交わしてから、そのままきていますから、(市教委は)事業者選定にもかかわっていません。すでに教育委員を退任されているようですから、私は特に問題だとは思いません」