CCCは無回答
だが、他の自治体の図書館関係者は、この見解に疑いの目を向ける。
「CCCを指定管理者として承認したのは市議会でも、そこまでの道筋をつくったのは市教委と考えられます。たとえ市長がCCCに決めたいと考えていても、市教委がノーと言えば話は進まないはずです。そういう決定権のある部署のトップが、指定管理者となった企業に再就職するのは、市民の誤解を招きかねない行為です」
しかも、議会でCCCの指定管理者が反対意見もなくスムーズに決まったのかというと、決してそうではなかった。高梁市議会関係者がこう明かす。
「3月の議会で図書館の指定管理者をCCCに決定するとき、ある議員から、『図書館専門会社のTRC(図書館流通センター)から、同じ条件・サービスでCCCよりも5年間で1億2500万円も安くできるという提案もあるので、あらためて公募するべき』という意見が出されました。それに対して『調査したが、CCCは高くなかった』と強引に進めたのが市教委です。その市教委の人間がCCCに入るなんて、おかしすぎます」
実は、これと似た出来事が3月21日に、全国3例目のツタヤ図書館として新装開館した宮城県多賀城市立図書館でも起きていた。
当サイト2月6日付記事『ツタヤ図書館、市側の元図書館協議会会長がCCC天下り疑惑…新館長に就任』で報じたが、元小学校の校長で、市教委傘下の図書館協議会会長を務めていた人物が、指定管理者に選定されたCCCに入社して、オープンと同時に館長に就任したことが明らかになった。
その後、市長が直接口ききしたのではないかと市議会でも追及され、大問題に発展したが、高梁市のツタヤ図書館でもまったく同じことを行っているのだ。
多賀城市のケースでは、事業者選定に直接の決定権はないが議論をリードしていく役割を担った図書館協議会会長(図書館長の諮問機関)がCCCに再就職した。しかし、今回の高梁市のケースは、直接決定に関与する教育委員会の委員長だ。
高梁市教委に取材したところ、本件に関して、藤井氏が9月末まで教育委員だった事実だけは認めたものの、「それ以上は個人情報なので一切答えられない」として取材を一方的に打ち切った。
CCC広報にもコメントを求めたが、期日までに返答はなかった。
ツタヤ図書館は、先行する3例すべてで不祥事が多発しているが、そのたびに市当局が「問題ない」とCCCを擁護する姿勢に終始している。高梁市の、ある市議会関係者は次のように危惧する。
「6月の教育委員会で、図書館の設備関係の予算が、当初の見積もりよりも、なぜか2000~3000万円高くなったことがありました。そのとき、教育委員会のメンバーは全員一致で、CCCに対して議会に詳細な明細を提出することを求め、条件付きで予算を承認しました。しかし今後、藤井氏が館長に就任したら、CCCの提案を丸のみするようになってしまうかもしれません」