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山田まさる「一緒に考えよう! 超PR的マーケティング講座」

健康的なのに、おいしいものは食べられる究極の食事法「フレキシタリアン」がブーム!

文=山田まさる/インテグレートCOO、コムデックス代表取締役社長
健康的なのに、おいしいものは食べられる究極の食事法「フレキシタリアン」がブーム!の画像1ソラノイロ京橋店『キノコのベジ白湯ソバ』

 2016年11月に東京・京橋にオープンした複合商業施設「KYOBASHI EDOGRAND(京橋エドグラン)」の地下1階にあるラーメン専門店「ソラノイロ~トンコツ&キノコ~」の「キノコのベジ白湯ソバ」を食べてきた。「遅すぎる!」という突っ込み覚悟の報告である。

 このラーメンについては、すでに記事やブログでたくさん紹介されている。たとえば、グルメニュースサイト「えん食べ」の「いま食べるべきラーメンNo.1!ソラノイロ京橋店『キノコのベジ白湯ソバ』――マッシュルーム香る濃厚スープ」という記事がこちらである。

 この記事のなかにもあるように、ラーメン業界にベジ系(野菜が中心となるベジタブル系)ラーメンの潮流をつくったのはソラノイロさんで、一昨年から豆乳系スープ(ベジ白湯)のお仕事でお付き合いをいただいているので、そのベジ系ラーメンは何度か食している。

 ただ、今回のベジ白湯ソバは、16年10月の期間限定展開のときに食べ損ねていたので、今回が初体験であった。このソバも相当にヤバイ。個人的には、こっちのほうが好きです。ラーメンの概念を覆す衝撃の旨さである。椎茸パウダーとオリーブオイルを練り込んだ麺、豆乳と野菜の濃厚なスープ、そして溶かしながら食べるマッシュルームオイル。「もう、これラーメンじゃなくなっているし」というのが正直な感想だ。

 このベジ白湯ソバは、「ベジ」と謳いつつも、動物系の素材(魚介のエキスや豚肉のラード、鶏肉のシャーシューなど)も使われているので、残念ながら厳格なベジタリアン(ビーガン)の方々は食べられない。ただ、ソラノイロ本店では「ビーガンベジソバ」というメニューがあり、東京駅店では「ビーガン坦々麺」があるので、そちらをどうぞ。

フレキシタリアン

 そもそも今回、ソラノイロでは京橋店の店名に「トンコツ&キノコ」と掲げている。つまり、動物性と植物性を二枚看板にして、「どうぞお好みで選んでください」というメッセージを発している。この「どうぞ選んでください」というのが重要なのである。

 そもそも、このベジの選択は、日本ではスターバックスコーヒーの「ソイラテ」がはじまりではなかったかと記憶している。いまやカフェでは当たり前になりつつあるが、ラーメンでも「ベジ」が選択できる時代になり始めている。それを選ぶのは、決してベジタリアンや厳格なビーガンの方たちに限ったことではなくなっている。

「フレキシタリアン」という言葉をお聞きになったことがあるだろうか。その名の通り、フレキシブルなベジタリアンという意味で、ベジ先進国の米国で03年頃に生まれた言葉である。「えーと、私は基本的に菜食主義ですが、ビーガンのような厳格なスタイルではなく、友達に誘われたらステーキでもハンバーガーでも食べますよ」というセミ・ベジタリアンのことで、特に基準はないらしい。なので「ミートフリーマンデー(週に一度はお肉を食べない日を設けようというキャンペーン)」のようなシューイチ・ベジタリアンまで含めて、かなり緩やかな菜食主義者を表す言葉だ。

 菜食主義の人々が多いといわれる米国だが、最近はベジタリアンの増加は落ち着き、このフレキシタリアンが増えているという。米国のInnova Market Insights社のデータによれば、「週に1回以上肉なしの食事をするアメリカ人の割合は、38%である」といわれており、その市場規模は米国だけで1億2000万人ということになる。

 以前、本連載第5回でも、シリコンバレーにおける新食品ビジネス勃興の実例として、植物性原料でつくられた「ビヨンドエッグ」をご紹介した。また最近は北米のベジ系のハンバーガー(「インポッシブルバーガー」など)も話題になっている。いずれも、ベジタリアンやビーガンたちだけでなく、このフレキシタリアン市場を大いに意識しているのである。

 もともと米国人ほど肉食ではない私たち日本人に当てはめれば、「そもそも、うちらはフレキシタリアンじゃん」という意見もあるだろう。

 私の祖母がいい例で、毎日「漬物+白めし(お冷ご飯)+番茶=お茶漬け」という超シンプルで固定的な食生活で94歳まで生きていた。それでも、孫が食べるハンバーグなどを見ると「おいしそうだから少しもらうわ」と、ミートボール大の小さなハンバーグも喜んで口にしていたので、まさに明治生まれのフレキシタリアンだった。そういう緩やかな菜食主義は、とても健康的な気がするのである。

“緩さ”がいい

 健康志向、ダイエット志向の高まりから、「糖質(炭水化物)」「脂質」「グルテン」など、とかく何かを制限する食事法が話題になる。何かを完全に排除するためには、どうしても食事に抑制がかかることになる。

山田まさる

山田まさる

株式会社インテグレートCOO、株式会社コムデックス代表取締役社長

1965年 大阪府生まれ。1988年 早稲田大学第一文学部卒業。1992年 株式会社コムデックス入社。1997年 常務取締役、2002年 取締役副社長就任。2003年 藤田康人(現・株式会社インテグレートCEO)とB2B2C戦略の立案に着手。2005年 食物繊維の新コンセプト「ファイバー・デトックス」を仕掛け、第2次ファイバー・ブームを巻き起こした。同キャンペーンは、日本PRアワードグランプリ・キャンペーン部門賞を受賞。2007年5月、IMC(Integrated Marketing Communication)を実践する日本初のプランニングブティックとして、株式会社インテグレートを設立、COOに就任。2008年 株式会社コムデックス 代表取締役社長に就任。同年「魚鱗癬」啓発活動にて日本PRアワードグランプリ・日常広報部門最優秀賞受賞。著書に『スープを売りたければ、パンを売れ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『統合知~“ややこしい問題”を解決するためのコミュニケーション~』(講談社)、『脱広告・超PR』(ダイヤモンド社)がある。


株式会社インテグレート

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