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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

死体の病理解剖、激減の真相

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 非常識君の意見です。

「日本人の感情からすれば、『死亡してまで、まだ解剖するのか?』という思いは根強いと思います。魂は天国に逝ったから、残った肉体はただの入れ物で、ご自由にどうぞお使いくださいといった感情は、ほとんど起こらないと思っています。臓器移植が欧米に比べてまだ一般医療として普及しない原因にも通じるものがあります」

 極論君の意見です。

「これから高齢化社会になります。そしてその高齢者が亡くなった後は、人口が減少します。とくに高齢者の人口が減少します。そして医学部は新しく2校が設置され、毎年1万人近い医師が登場します。医師の多くは一般的な定年の年齢を超えても働きますので、医師は相対的に余ると思っているのです。そんな時代になると他の診療科が飽和するので、病理医の数は相対的に増加するかもしれません。画像診断がどんなに進歩しても、すべてがわかるとは思えないので、病理解剖は永遠に必要とされると思っています。そして、正しい医療であったかを検証するためにも、病理解剖が問題なくできる体制を維持しておくことは必要です」

 常識君の意見です。

「病理解剖は病院側が家族にお願いして施行されます。つまり、病院の実施意欲と家族の了解が必要なのです。病院としてはまったくの不採算部門です。ですから病理解剖を行っている数なども、病院評価の項目で明らかになるといいでしょう。そんな不採算部門も正しい医療を行うためには必要だというメッセージになります」

 極論君の意見です。

「確かに病理解剖の病院別のデータはインターネットでも簡単にはみつかりません。また、各病院が率先してHPに病理解剖数を公表していることも少ないと思っています」

 常識君の意見です。

「極論君は医療の発展のために、できれば全例に病理解剖を行いたいということですね。しかし、診断技術が今後ますます進歩すれば、病理解剖を行う意味合いは薄れてきます。最先端の技術を駆使しても判然としないときに、行われるようになるのではないですか。また、亡くなった方に学生の解剖実習に遺体を提供していただく、つまり献体も3Dプリンターが進歩して、ほぼ実物の人間と変わらない精密な模型が完成されれば、学生の解剖実習の必要性も薄れるかもしれません。技術の進歩によって、いろいろなものが変わっていくのは、正しい進歩の道筋だと思います」
(文=新見正則/医学博士、医師)

●新見正則(にいみ・まさのり)
1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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