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榊淳司「不動産を疑え!」

都心タワーマンション、完成半年で成約数わずか9件…マンション市場で実売価格下落

文=榊淳司/榊マンション市場研究所主宰、住宅ジャーナリスト

政策の錯誤

 黒田総裁の任期は今年の3月までだった。彼の退任と、リフレ派以外の人物の総裁就任によって、日本も金融引締めに転換するのかと期待された。しかし、現実はあらぬ方向に突き進んだ。黒田総裁の続投である。任期は5年。

 黒田総裁は「インフレ目標2%」を掲げて、今の異次元金融緩和を始めた。なぜインフレを導くかというと、物価が適度に上がったほうが景気は良くなるから、という発想だった。

 異次元金融緩和が始まって、確かに景気はよくなった。失業率は低下し、わずかながらもGDPは増えている。企業の業績も、この3月期は上場企業の7割が増収だという。景気は、実感がないものの明らかに回復している。

 しかし、人々が最も求める個人所得、すなわち人々の収入は上がっていない。各種公共料金や消費税の上昇で可処分所得は低下している。であるのに、物価だけが2%も上がっては人々の生活はかえって苦しくなる。ところが、黒田総裁は「インフレ目標2%」の未達を理由に金融緩和政策を転換しようとしない。面子にこだわった本末転倒の政策継続だ。そして、その黒田東彦氏の日銀総裁再任が決まった。

 これは恐ろしい政策の錯誤である。マンション市場の視点からいえば、早々に潰すべき局地バブルを継続させてしまうことになる。ただの継続なら良いが、いつか爆発するマグマの容量を増やし続ける結果にもなるだろう。

 この局地バブルが危うい土壌の上に砂上の楼閣を積み重ねている、という実態を示すいくつかの兆候が出てきている。

 先日、シェアハウス投資の「かぼちゃの馬車」が実質的に破たんした。多くの個人投資家が多大な損失を蒙ることが確実視されている。これに関連して、ゆるい審査と高い金利の不動産担保融資で知られる某地方銀行が、近々金融庁の検査を受けるのではないかという噂が飛び交っている。

 また、2015年1月の相続税課税控除額の改正で一気に増えたサブリース型の木造アパート群も、そろそろ契約更改の時期を迎える。ただでさえ空室率が高いので、当初のサブリース金額が大幅に見直されるケースが多発すると私は予想する。

本年最大最強の不確定要素

 日本の長期金利はゼロに近い状態だが、健全な金融政策を目指して数年前に政策を転換したアメリカの長期金利は上昇傾向にある。この原稿を書いている2月末時点ですでに2%台の後半。いつ3%台に達してもおかしくはない。日米の金利差が3%に開くということは、これだけ世界経済がグローバル化した現在にあってはかなりイレギュラーだと思う。つまりは不安定な状態。

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