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渡辺雄二「食にまつわるエトセトラ」

一部の口臭防止用マウススプレー、発がん性の恐れ…過去に国が使用禁止のサッカリンNa含有も

文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト

 ところがその後、前述の動物実験に使われたサッカリンNaには不純物が含まれており、それが原因でがんが発生したという説が有力になりました。そこで厚生省は同年12月、サッカリンNaの使用禁止を解除しました。
 
 しかし、80年代になってカナダでサッカリンNaを5%含む飼料をラットに二世代にわたって与える実験が行われ、その結果、二代目のオス45匹中8匹に膀胱がんが発生しました(『第7版食品添加物公定書解説書』廣川書店刊より)。

 一方で、カニクイザルやアカゲザルなどにサッカリンNaを混ぜた飼料を24年間与える実験が行われ、その実験では膀胱にがんは発生しませんでした(食品安全委員会添加物専門調査会の『添加物評価書 サッカリンカルシウム』より)。

 結局、サッカリンNaは使用禁止とはならず、今でも酢だこやガリ(生姜の酢漬け)などに使われ続けています。

 サッカリンNaの化学構造は、ベンゼン(いわゆる亀の甲)に二酸化硫黄と窒素、酸素、ナトリウムを結合させたものです。ベンゼンは人間に対して、白血病を引き起こすことが明確になっている化学物質です。

 したがって、それを骨格に持つサッカリンNaも、発がん性の疑いを拭い去ることはできないと考えられます。「安全性の疑わしい化学物質は避ける」という予防原則に基づけば、サッカリンNaは避けるべきと考えられます。

 ちなみに、サッカリンNaと似た化学物質にサッカリンCa(カルシウム)がありますが、これは、2012年12月に食品添加物としての使用が認可されました。そのため、甘味料して菓子類や漬物などに使われることがあります。しかしサッカリンCaの化学構造は、サッカリンNaとほぼ同じであり、同様の危険性があるので、やはり避けたほうがよいでしょう。

 前述のように、口臭は口内の細菌が増殖して食べかすなどを分解することによって発生します。ですから、口臭を防ぐためにはこまめに水で口をすすいで細菌が増えないように心がけるとよいでしょう。

 また歯と歯茎の間に溜まっている歯垢を、歯磨き剤なしのブラッシングによってきれいに除去することも大切です。歯垢を除去できれば、それが原因で発生する歯周病を防ぐことができるうえ、口臭を予防することにもつながります。
(文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト)

渡辺雄二/科学ジャーナリスト

渡辺雄二/科学ジャーナリスト

1954年9月生まれ。栃木県宇都宮市出身。千葉大学工学部合成化学科卒。消費生活問題紙の記者を経て、82年からフリーの科学ジャーナリストとなる。全国各地で講演も行っている

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