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山口組分裂から3年…「血で血を洗う戦い」から「切り崩し」と「厳罰化」を睨んだ抗争へ【沖田臥竜コラム】

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3年前の8月末、神戸山口組を立ち上げた井上邦雄組長。

 空前絶後の六代目山口組分裂から丸3年を迎えた。それはすなわち神戸山口組の創設3周年を意味する。誰しもが想像していなかった山口組の分裂という事態に、当初は業界関係者のみならずマスメディアの報道までもが加熱し、六代目山口組と神戸山口組の行く末に世間の関心が集まった。

 一度は引退したももの、神戸山口組の名の下に続々と復帰を果たす顔役たち。そして、大抗争に発展しないまでも、全国各地の至るところで繰り返された両山口組の衝突。そうした現場の最前線に立ち、常に分裂騒動において先手を取り続けたのが、元神戸山口組若頭代行で現任侠山口組の織田絆誠代表だったといえるのではないだろうか。

 山口組を離脱し、組織を維持していくのが不可能なことは、これまでの歴史が証明していた。だが神戸山口組は、組織を衰退させるどころか、勢力を拡大してみせたのである。

 不可能を可能にした要因は何かといえば、神戸山口組の核弾頭ともいわれた織田代表ら実力者が揃って新たな組織づくりに参画したことだろう。事実、非凡な求心力とリーダーシップを持つ織田代表はその後、神戸山口組をも割って出て、ヤクザ社会の常識であった盃ごとを取り行わず、これまでのヤクザ組織の概念とは掛け離れた組織運営を取り入れた任侠山口組を誕生させ、1年以上にわたって存続させているのだ。

 こうして事実上、指定暴力団として“3つの山口組”が並行して存在することになるのである。

攻撃よりも組織防衛

 この状況だけを見れば、いつ血で血を洗う抗争へと発展してもおかしくないが、睨み合いのような冷戦状態は継続中でありながらも、世間を震撼させるような抗争へは発展していない。

 その理由として挙げられるのが、ヤクザに対しての法規制による厳罰化。それが抑止力となり、過激な抗争を抑え込んでいるといえるだろう。

「この分裂騒動の命運を握るのは、警察当局。ここまでヤクザに対する取り締まりが強化されてしまった以上、お互いを攻撃し合うよりも、組織を維持するための組織防衛へと回ることが優先されるのではないか」(法律に詳しい専門家)

 この指摘は的外れではないかもしれない。ただし、必ずしもそれが正解かといえば、そうではないとする声も上がっている。

「法律は、確かにヤクザを締め付けている。抗争事件で人ひとりを殺害し、逮捕されてしまえば、現実的には社会復帰は困難になった。それでも六代目山口組分裂後、射殺事件が起きているのも事実。派手な事件は数多く起きていないまでも、水面下では今でも移籍をめぐる攻防や切り崩しは日常茶飯事だ」(業界関係者)

 確かについ先日も、任侠山口組から六代目山口組系組織への移籍報告書が拡散されたばかりだ。情報戦を交えた切り崩し合戦という、これまでの抗争のやり方とは異なりを見せている戦い方とはいえ、まったく何も起きていないわけではないという指摘も間違っていない。

 一方で六代目山口組では、離脱した組員らを再び迎え入れることに期限を設け、当初の8月から9月に延長されたという、そのリミットも迫ってきた。

 対する神戸山口組では、「任侠山口組とは立ち上がった理由が違う」との趣旨を公言した上で、「再び六代目山口組と合流することはない」と宣言したといわれている。任侠山口組でも、六代目山口組への加入が噂されながらも、それを否定するかのように今でも組織改革を行い続けている。

「今後、組織の規模としては、どの山口組も表で活動する構成員は減少していくことが予想される。それは組員を動きやすくするための偽装離脱のケースもあるだろうし、締め付けが強化されるなかでヤクザ社会から足を洗う組員が出ることも考えられるからだ。しかし、いずれかの山口組同士が合流などすることはなく、3つ巴の状況はこれからも継続されていくのではないか」(捜査関係者)

 今なお続く山口組分裂騒動。少し前になるが、現在はヤクザ社会から引退したある大物親分が、著者に対し「まだ時間がかかるかもしれないが、山口組はひとつになるのが一番ではないか」と漏らした言葉が印象的に残っている。
(文=沖田臥竜/作家・元山口組二次団体幹部)

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
元山口組二次団体最高幹部。2014年、所属していた組織の組長の引退に合わせて、ヤクザ社会から足を洗う。以来、物書きとして活動を始め、『山口組分裂「六神抗」』365日の全内幕』(宝島社)などに寄稿。著書に『生野が生んだスーパースター 文政』『2年目の再分裂 「任侠団体山口組」の野望』(共にサイゾー)など。最新小説『死に体』(れんが書房新社)が発売中。

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