ビジネスジャーナル > マネーニュース > 生命保険で貯蓄を考えると大損する?  > 2ページ目
NEW
藤井泰輔「あなたの生活をサポートするお金のはなし」

今どき生命保険で貯蓄を考えると大損しかねませんよ…払う保険料が、受け取る保険金より多い実態

文=藤井泰輔/ファイナンシャル・アソシエイツ代表

 ほかにも、「貯蓄性がある」ということを謳った、低解約返戻金型終身保険という商品があります。これは、保険料の払込期間中の解約返戻金を、通常の7割程度に抑えた商品で、例えば30歳男性、60歳で保険料の払込みが終了する契約で、払込みが終了したあとに解約すると、解約返戻金が支払保険料の110%近くになるなどと宣伝しています。この商品も、60歳より前に解約すると、3割近くも資金が目減りしてしまうわけですし、これから先30年間も高額な保険料を払い続けることを前提に、わざわざ終身保険を契約する理由は、保険を売る側にしかないと思います。

 生命保険を販売する側は、生命保険料控除で税金が安くなると言いますが、契約している生命保険が終身保険だけということはなく、控除額が最大4万円であることを考えると、控除が生命保険を契約する目的とはなり得ません。

 では、学資保険での積立はどうでしょうか。学資保険、この商品は保険という名の積立商品です。以前は、満期までの期間と保険料の払込期間が一緒でしたが、この低金利下、保険料の払込期間が短くなっている商品がほとんどです。教育費があまり掛からないうちに、少し多めの保険料を支払い、いざお金が必要になったときに学資金や満期金を受け取るということになります。計画的に蓄えをするのが苦手な人や、おじいちゃんやおばあちゃんが、孫のために貯蓄するという目的では、考えてもいい商品かもしれません。

今でも積立に適した生命保険があった?

 最近、テレビでCMを流している明治安田生命の「じぶんの積立」という商品は、生命保険としての機能はほとんどなく、積立目的の商品です。生命保険ではないので、健康状態に関係なく契約ができます。この商品は、5年間毎月一定額を積立てると、5年目以降は、払った保険料よりも多くの金額が受け取れる仕組みになっています。

 例えば、毎月1万円を5年間積立てると、60万円になりますが、7年経って解約すると60万8,280円、10年後の満期時には61万8,000円が受け取れます。銀行金利がほぼゼロの状況では、10年経って2万円程度の金利であれ、若干なりとも積立効果があります。

 しかし、この保険会社は、なぜ儲かりもしない、しかも生命保険とも呼べないこうした商品を、テレビCMまで流して売ろうとしているのでしょうか。それは、取りも直さず、最近生命保険離れが顕著な若い世代を取り込む手段なのです。つまり、満期を迎えるか、生活に変化があったときに、今度こそ本格的な(?)生命保険商品を売ろうとしているのです。したがって、購入を考える場合は、その点を心しておく必要があります。目先のわずかなプラスが、将来的に数十万円、ひょっとして百万円単位の損につながることになるかもしれません。

藤井泰輔/ファイナンシャル・アソシエイツ代表

藤井泰輔/ファイナンシャル・アソシエイツ代表

株式会社ファイナンシャルアソシエイツ代表取締役。生保協会認定FP、DCプランナー、宅地建物取引士。一橋大学商学部卒業後、三井物産、生命保険会社勤務を経て、2000年に総合保険代理店、株式会社ファイナンシャルアソシエイツを設立。法人、個人ともに、常に買う側の立場に立った保険提案で顧客の信頼を集めている。機会あるごとに保険をテーマとしたセミナーの講師を務め、さらに新聞、雑誌などへの寄稿を通して、正しい保険の活用法を説いている。主な著書に、『あなたの「生命保険」払いすぎ!』(かんき出版)、『中小企業のための保険加入完全ガイド』(プレジデント社)、『安心セカンドライフのためのマネー・プラン』(日本評論社)がある。

今どき生命保険で貯蓄を考えると大損しかねませんよ…払う保険料が、受け取る保険金より多い実態のページです。ビジネスジャーナルは、マネー、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!