今どき生命保険で貯蓄を考えると大損しかねませんよ…払う保険料が、受け取る保険金より多い実態
外貨建て商品で「騙された」と怒る前に
銀行等で売られた外貨建ての生命保険に対して、ここ5年でクレームが増大しています。特にクレームが多いのは、高齢者からですが、まとまったお金を持っているのが高齢者だということです。これだけ国内の低金利が続くと、資金運用を外貨で行いたいという気持ちはわかりますが、その手段が、生命保険商品であってはなりません。理由は、シンプルで以下の4点です。
1.為替の変動は、自分ではコントロールできない。
株式や投資信託ならば、買い換えるという方法がとれますが、為替はそれができません。
2.為替手数料を取る。
ドルへの売り買いで、往復1円取るような保険会社もあります。1円といえば、1ドル=110円としても、1%近い金額です。
3.販売者が数%の手数料を取るので、その分契約時点で資金が減ってしまう。
4.10年以内に解約をすると、解約控除というペナルティーを支払わされる。
外貨建ての生命保険でなくても、銀行で預ける外貨預金でも、大手銀行では、円からドル、ドルから円で1円ずつ、計2円の手数料を取るところもあります。これは、ドルで1年に2%の金利が得られたとしても、為替が変わらないならば、資金が増えないことを意味しています。為替が少しでも円高になれば、目減りしてしまうのです。
為替手数料は、ネット銀行では大手の4分の1から20分の1程度ですが、いずれにしろ、外国為替のことなどを理解しない人が、外貨建ての商品に安易に手を出すのは、極めて危険だということです。つまり、あとで泣きを見たくなかったら、外貨建ての商品を、保険会社や銀行の窓口で買ってはいけないということなのです。
損をしてから怒ってみても、あとの祭りです。生命保険商品は、保障を買うものだと割り切るのが、当面は賢い選択かと思います。
(文=藤井泰輔/ファイナンシャル・アソシエイツ代表)