榎本博明「人と社会の役に立つ心理学」

大事な我が子を将来「引きこもり」にさせないための教育方法…他人事ではない時代に

「Gettyimages」より

 5月28日に川崎市でスクールバスを待っていた小学生やその保護者20人が男に刺され、2人が死亡し、18人が重軽傷を負うという、痛ましい事件があった。

 そして、その4日後の6月1日には、元農林水産省事務次官が無職の長男を刺殺するという事件が起こった。川崎市の殺傷事件を意識し、息子が似たようなことを起こすことを恐れたというような供述をしていると報道されている。

 いずれの事件にも引きこもりが絡んでいることから、引きこもりに世間の注目が集まっている。もちろん引きこもりが犯罪につながるというわけではない。だが、引きこもっている本人が、自信をもって社会に出ていけない自分をもてあまし、苦しんでいるのは紛れもない事実であり、できることなら引きこもらないですむようにするのに越したことはない。

増え続ける引きこもり

 引きこもりに関する相談件数はこのところ増加の一途をたどっており、深刻な社会問題となっている。

 2015年に内閣府が実施した「若者の生活に関する調査報告書」によれば、調査対象となった3000人あまりのうち49人が広義の引きこもりとみなされた。この調査の対象となったのは15歳~39歳であり、その人口からみて、全国に54.1万人の引きこもりがいると推定された。

 また、2018年に内閣府が実施した「生活状況に関する調査」によれば、調査対象となった3000人あまりのうち47人が広義の引きこもりとみなされた。この調査の対象となったのは40歳~64歳であり、その人口からみて、全国に61.3万人の引きこもりがいると推定された。

 これらの調査を併せると、全国に100万人以上の人たちが引きこもっていることになる。ただし、引きこもりというと家からまったく出ない状態をイメージする人が多いかもしれないが、ここでいうのは広義の引きこもりである。

 上述の調査では、「自室からほとんど出ない」「自室からは出るが、家からは出ない」という人だけでなく、「ふだんは家にいるが、近所のコンビニなどには出かける」という人や「ふだんは家にいるが、自分の趣味に関する用事のときだけ外出する」という人も、広義の引きこもりに含めている。

 このように、引きこもりといっても、家に引きこもってまったく外出しないケースだけでなく、ときどき外出することはあっても、家の外で自由に振る舞えない心理を問題にする必要がある。そこでのポイントは、家の外に人間関係をうまく築くことができないことにある。

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