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山崎元裕「超・クルマ論」

1台2億円…“唯一の”ハイパーカー「エヴァイヤ」発売へ、富裕層から注目を集める理由

文=山崎元裕/フリーランス・モータージャーナリスト
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ロータスの正規輸入総代理店、エルシーアイのHPより

 スーパーカーをさらに超越した存在として、最近ではハイパーカーと呼ばれるセグメントのモデルに、スーパーリッチからの視線が集中しているようだ。より高性能で希少性が高く、そしてもちろん高価格なハイパーカーは、自動車メーカー自身にとっても、自らが持つ最新技術をアピールするにはきわめて有効な手段。それだけに続々と誕生するハイパーカーの世界は実に面白く、そして興味深いのだ。

 そのハイパーカーのテクニカル・トレンドにも、ここ最近で電動化の波が押し寄せてきている。今回はそのなかから、先日イギリスでロータスが正式発表したフルEV(電気自動車)のハイパーカー、エヴァイヤ(Evija)を紹介することにしよう。

 ちなみにこのモデルは、これまでロータスでは「タイプ130」という社内コードで開発が進められてきたが、これはエヴァイヤが、ロータスにとって130番目の開発プロジェクトに相当するものだったことを表している。またエヴァイヤとは、日本語に訳せば「唯一の」、あるいは「最初の」といった意味を持つもので、このネーミングが実に的を射たものであることは、そのメカニズムの詳細を知れば知るほどに明らかになってくるだろう。

ロードカーとしての実用性も十分に確保

 7月上旬にイングランドで開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード。この伝統のクラッシックカー・イベントでは最近、ニューモデルのワールドプレミア、とりわけハイパーカーをはじめとするスポーツカーの発表が行われることが多いが、ロータスは今年ここで、エヴァイヤのエクステリアの一部ディテールを公開し、それから約10日後の7月16日にロンドンで、改めてその正式なワールドプレミア・イベントを開催した。

 現在のロータスは2017年以来、中国の吉利ホールディングスの傘下にあるが、吉利汽車
が常にブランドの独自性を尊重してその経営に参画してくれていることは、同様に吉利
ホールディングスにあるスウェーデンのボルボもまたそれを証明しているところだ。

 実際に姿を現したエヴァイヤが、まず見る者の目を魅了したのは、やはりそのアグレッシブで斬新なエクステリアデザインだった。ロータスによれば、最初のデザインスケッチが描かれたのは2017年9月のことであり、翌年2月には早くもフルスケールのモデルが製作されたというから、ここにも吉利汽車との友好的な関係は証明されている。その彫刻的でシャープなサイドラインの構成や、個性的なリアフェンダーの造形などからは、このエヴァイヤが冷却性能を含め、優秀なエアロダイナミクスを実現していることがわかる。

 エヴァイヤのパワーユニットは、前後4輪にそれぞれ備えられるエレクトリックモーターだ。ウイリアムズ・アドバンスト・エンジニアリングが開発に深く関係したこのシステムが達成した最高出力は実に2000ps以上。最大トルクは1700Nmを発揮する。シート後方の低い位置に搭載されるリチウムイオンバッテリーは2000kWhの容量を持つもので、これだけのバッテリーを搭載しながら、ウエイトを1680kgに抑えたことで、0→100km/h加速は3秒以下、最高速は320km/hを可能にする。

 一方でフル充電からの最大航続距離は400kmというから、ロードカーとしての実用性も十分に確保されていることがわかる。そう、このエヴァイヤはサーキット走行のみを可能にするモデルではなく、日常のロードユースにも十分対応するモデルに仕上げられているのだ。

 エヴァイヤは、これからプロトタイプの本格的な走行テストをスタートし、2020年末にはデリバリーを開始する予定だ。生産はコードネームのタイプ130に由来する130台の限定で行われ、価格は150万~200万ポンド(2~2億7000万円)と計画されている。

 その軽量性を最大のブランドイメージとし、スポーツカーのみを生産し続けてきたロータス。彼らの新時代はまさにこの「最初で唯一の存在」たるEVハイパーカー、エヴァイヤから始まるのかもしれない。

(文=山崎元裕/フリーランス・モータージャーナリスト)

山崎元裕/フリーランス・モータージャーナリスト

山崎元裕/フリーランス・モータージャーナリスト

1963年生まれ。青山学院大学卒。大学に在学している頃から、なぜか日本の広報試乗会をウロついていたスーパーカー命の男。でも日本が誇る工業製品、軽自動車も意外に好きだったりする。
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