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土性沙羅の大きな不安

日本レスリングに黄色信号、東京五輪目前で“勝てなく”…海外勢が一斉にレベル向上

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熾烈化する代表争い

 さて、2年ぶりに世界の檜舞台に立った土性。1、2回戦は順当に勝ち上がったが、準々決勝で昨年の世界選手権3位だった米国のメンサストックと当たった。土性は最初からまったく精彩なく、タックルを決められたりバックを取られたり、転がされたりで次々と加点され、1対10で大敗した。試合後「相手が強かった」を繰り返した。幸いメンサストックが決勝に進出したため、敗者復活戦に回れた。「よかった。死ぬ気で戦うしかない」と話した土性だが、やはり動きに切れがない。ナイジェリアの選手にも2対2と苦戦し、内容差でなんとか勝ち、国別枠獲得の5位以内には入った。そして3位決定戦はドイツのアンナ・シェル。土性の身長は彼女の肩までしかなく、16センチの身長差。それでも2ピリオドには肩車で相手を抱え上げかけたが中途半端。逆に返されてポイントを取られ、結局1対4で敗北した。

 間近に見ていても、「土性なら絶対、逆転するはずだ」という迫力を感じなかった。やはりどこか、無意識のうちに体が左肩をかばっているのだろう。ずんぐりした体からは想像できない鋭いタックルも影を潜めていた。この大会で3位以内なら東京五輪代表内定だったが、お預けになってしまった。試合後、「自分が弱かったんだと思います。攻め切る勇気が足りなかった」と話した。肩については「悪くないし練習もできていた」として言い訳にはしなかった。

 日本レスリング協会のある関係者は、今大会の土性について準々決勝の戦いぶりが象徴していたとみる。

「メンサストック選手は、昨年より進化していた。パワーはあるが粗削り、と見られていたが、技術も身に着け、今年になってから主な国際大会をほとんど優勝していた」

 土性も「初めての相手だったが強かった」と正直に話していた。「失敗した」とか「調子が悪かった」といった類の敗戦の弁ではない。力の差をまざまざと感じている表情だった。

 土性は「今の自分のポジションはかなり下のほうなので、死ぬ気で1年やらないといけない。周りは成長している」とも話した。「周りは成長している」。この言葉は世界のレスリング界全体に当てはまる。今回の世界選手権。吉田や伊調のような絶対王者がいなかったとはいえ、男子も含めて日本選手が不調だったというよりは、「海外の選手が強くなった」と素直に感じた。五輪を前に力を入れるのは日本だけではないのだ。

 土性は12月の全日本選手権で優勝すれば東京五輪内定だが、そうでなければ優勝者とのプレーオフとなる。今回、72キロ級で出場した古市雅子が立ちはだかってくるだろう。

 ちなみに、土性が敬愛する先輩の登坂にも望みが出てきた。登坂を選抜選手権で破った須崎は、7月のプレーオフで入江ゆき(24/自衛隊)に敗れ世界選手権切符を逸した。ところが今回の世界選手権ではこの入江が、中国選手の豪快な投げ技を食って早々に敗退してしまい、五輪代表内定を逸したのだ。このため12月の全日本は3人を中心にした代表争いになる可能性がある。オリンピックの頂点を極めた女たちに、まだまだ厳しい戦いが続く。

(文・写真=粟野仁雄/ジャーナリスト)

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