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新型肺炎、中国政府は12月に拡大を認識し隠蔽か…検査キット開発が不可解な速さ

文=編集部
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武漢市の医療機関(AFP/アフロ)

 中国新型肺炎は拡大する一方だ。23日に配信されたロイター通信のまとめによると、死者は17人、中国国内の感染者数は計470人以上。湖北省では22日午後8時(日本時間同9時)時点で、444人の感染が確認された。当初、中国当局は最初の感染集団である44人のみで封じ込めができていたかのように報告していたことから、情報統制が行われている懸念が指摘されている。また中国当局が公式に新型肺炎の存在を認めてから、検査キットの開発と普及があまりにも早いこと、半面で感染源となった海鮮市場の閉鎖があまりにも遅い点に関して、日本政府関係者から疑問の声も聞かれる。

患者発生から習近平国家主席の情報隠蔽禁止指示まで

 ここで改めて、中国メディアの報道や世界保健機関(WHO)のニュースリリースをもとに、新型肺炎発生からこれまでの経緯をまとめてみた。

2019年

12月8日 中国・武漢市で原因不明の肺炎患者が発生。

30日  インターネット上で中国当局の公文書「原因不明の肺炎救援工作を良好に実施することに関する緊急通知」が流出。

31日 中国メディア「第一財経」が、ネットで流出した文書が本物であること、12月8日に最初の患者の報告が行われていること、感染者が市内の華南海鮮市場の出店者であることなどを報じる。中国当局が事実を認め、WHO中国事務所に病例を報告。

2020年

1月1日 感染源となった華南海鮮市場が閉鎖。同日まで大勢の買い物客がいた。

3日 中国の国家当局が「病因不明の肺炎患者、全部で44人」とWHOに報告。

11~12日 中国・国家衛生健康委員会が感染者数の増加など詳細情報を再度WHOに報告。中国当局は12日に新型コロナウイルスのDNAシークエンス情報を発表。WHOの発表によると12日時点で中国政府は「現時点では医療従事者の感染はなく、ヒトからヒトへの感染の明らかな証拠もありません」として報告した。

14日 中国・澎湃新聞が「深セン上場のゲノム解析大手、深セン華大基因(広東省深セン市)は14日、子会社の深セン華大因源医薬科技が新型コロナウイルスの検査キットの開発に成功したと発表した。疾病予防対策部門や医療機関向けに提供できるとしている」と報道。

20日 習近平国家主席が肺炎感染の拡大防止の徹底を指示。情報隠蔽に対しては厳罰に処すと発表。以降、中国当局が発表する感染者数が増え始める。

「アクセルとブレーキを同時に踏む不可解な動き」

 こうした動きを日本の厚生労働省関係者は次のように分析する。

「少なくとも中国南部で重症急性呼吸器症候群(SARS)が発生した02~03年に比べれば、中国当局は迅速に対応しているように思えます。ただ一方で、アクセルとブレーキが同時に踏まれているような不可解な動きがあるように見受けられます。

 例えば、中国当局は感染者数が拡大したのは『新型検査キット』が普及したからだという説明をしています。14日に深セン市の大学が開発したという報道がありましたが、当局が肺炎発生の事実を公表してから2週間、検査キットを作成する上で不可欠なDNAシークエンスを公表してから2日という極めて速い動きでした。

 中国を含め世界の医療機関にはSARSの知見があり、コロナウイルスの検出自体は難しいものではないにしても、それをキット化して医療機関に提供可能な状態にする期間としては明らかに短いです。一般論ですが昨年12月の段階で、これがSRASと同程度の危険性があることを認識し、そのうえで当該ウィルスを国内の研究機関に配布していなければ難しいのではないかと思います。

 一方でそうした研究を行っていながらも、国民に対する防疫周知活動は低調でした。海鮮市場は中国メディアの報道がなければ当面、閉鎖されなかった可能性があります。国民のパニックを抑制することは非常に大事なミッションですが、そもそも感染者を増やしてしまうのは本末転倒です。我々も中国で何が起こっているのかを注視し、国内の予防体制構築を急いでいます」

 日本でも20日、国会が開幕した。だが新型肺炎に関する国会、政府内の議論はまだまだ低調に見える。中国当局の情報隠蔽に対する批判がブーメランにならないよう、透明性のある対策と行動が求められている。

(文=編集部)

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