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松岡久蔵「空気を読んでる場合じゃない」

新型肺炎、深刻なマスク不足は中国人の“爆買い”が原因だった…中国で価格10倍で転売

文=松岡久蔵/ジャーナリスト
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写真:AP/アフロ

 中国で発生した新型肺炎の拡大で、空前のマスク争奪戦が起きている。転売目的の業者も出るなど価格は高騰している。テレビ業界では収録に支障が出るケースもあり、影響は各分野に及び始めている。

握手会も中止に追い込む新型肺炎の威力

「新型肺炎のせいでテレビ収録が難しくなっているんですよ」――。ネットテレビ制作会社の男性社員はこう嘆く。中国から感染が拡大している新型肺炎の勢いはとどまることを知らない。2月7日現在、中国本土の死者は636人、患者数は3万1161人となった。日本国内でも86人の感染が確認されている。

 先の男性によると、格闘技などのスポーツイベントをはじめ、コンサートなど建物の中で撮影するエンタメ系番組の収録では、マスク着用を観客に求める現場が多く、会場がマスクを着けた人だらけの「不気味な光景」になっているという。ジャニーズグループのハイタッチ会やAKB48の握手会が中止になるケースなども出始めており、今後もこの流れは収まりそうにない。

中国で転売業者が暗躍

 年明けからのマスク需要増大で、メーカーの生産が追いつかず、国内の価格が高騰している。中国現地の需要を当て込んだ転売業者が「爆買い」していることが背景にあるという。中国人の爆買いに詳しいフリーライターが、日本国内から中国への転売ルートについてこう解説してくれた。

「まず、日本のドラッグストアで集めたマスクは、日本国内にある買い取り業者が定価の2、3割増しで購入します。それを香港に運び、現地の運び屋に渡して中国本土に運ぶ。そこからマスクが足りてない地方にトラックを走らせて、定価の数倍で売りさばくというわけです。

 ただ、肺炎騒動が盛り上がった1月半ば頃は30枚1500円のマスクが10倍で売れたものですが、さすがに当局に目を付けられ始めました。現地では摘発されると罰金50万円が課されたり、マスク自体が没収されたりしているそうで、今は少し収まっていますが、まだ需要はあるので稼ぎ時といえば稼ぎ時ですね」

 マスクをめぐっては、日本国内でもメルカリなどの転売サイトで数万円とぼったくりといえる価格設定が問題となり、同社や消費者庁が適正な価格での販売を促す異常事態となっている。今回の新型肺炎騒動はゆくゆくは沈静化するだろうが、もう少し時間が必要になりそうだ。

(文=松岡久蔵/ジャーナリスト)

●松岡 久蔵(まつおか きゅうぞう)
Kyuzo Matsuoka
ジャーナリスト
地方紙勤務を経てフリーに。マスコミの経営問題や雇用、農林水産業など幅広い分野をカバー。特技は相撲の猫じゃらし。現代ビジネスや東洋経済オンラインなどにも寄稿している。ツイッターアカウントは @kyuzo_matsuoka

ホームページはhttp://kyuzo-matsuoka.com/