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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

シジミの名産地・宍道湖、漁獲量が激減…農薬に汚染された水が流入、ウナギも減少

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事
【完了】シジミの名産地・宍道湖、漁獲量が激減…農薬に汚染された水が流入、ウナギも減少の画像1
宍道湖の嫁ヶ島(「Wikipedia」より)

 海水と淡水が混じり合っている湖のことを「汽水湖」といいます。シジミで有名な島根県のも、汽水湖のひとつです。塩分濃度は0.3~0.5%で、3.5%といわれる海水の塩分濃度の10分の1程度と考えられています。この塩分濃度がいいのでしょう、シジミやウナギが昔からよく獲れたようです。

シジミの名産地・宍道湖、漁獲量が激減…農薬に汚染された水が流入、ウナギも減少の画像1

 筆者の友人のひとりも、この宍道湖で代々シジミ漁の漁師をしています。宍道湖には鳥類も多く生息していて、その種類は240種を超えるといわれています。豊かな自然が育まれていたのですね。その宍道湖に近年、異変が起こっています。

 シジミやウナギなどの絶対数が激減しているのです。その原因は、はっきりしています。ネオニコチノイド系農薬により汚染された水が湖に入り込み、水中プランクトンの数が減ったことで、それを捕食していた水中生物に影響が及んだのです。

 一方では農薬を使うことで一時的に収量を上げ、少しばかり金儲けができて、おまけに楽もできた農業生産者がいて、もう一方では、その農薬の影響を被り、収益が得られなくなってしまう漁業関係者がいる。大いなる矛盾ですが、これはある意味、日本の縮図と言ってもいいかもしれません。

 この深刻な問題を解決する手段は、農業全体をオーガニックの方向に向かわせること以外にはないと、筆者は考えています。この問題を侮っていると、とんでもない事態を呼び起こすことにもなりかねません。

 宍道湖で起きている問題は、実は日本のどこにでも起きており、それはやがて世界中の、地球規模の問題につながっていくわけです。

 筆者は決して、大げさなことを言っているのではなく、いたずらに危機感を煽ろうとしているわけでもありません。しかし、日本が農薬や化学肥料を使い過ぎていたということは紛れもない事実です。

 その背景には、経済界というか、大企業をある方向にリードする人たちが存在しています。ある種の権力を持つ人が、または企業が、自らの利益のために影響力を及ぼすというのは、ごく普通のことです。それは良い悪いの問題ではなく、企業に属する者として当然の振舞いなのです。たとえそれが環境にどのような悪影響を及ぼし、社会的に意味のある仕事を奪うことになったとしても、優先すべきが自社の利益であるということが正義として罷り通る世の中なのです。

ネオニコチノイド系農薬を大量に輸入する日本

 筆者は、そのことに疑問を持ち、儚い抵抗を試みてきましたが、ずっと無力感に苛まれてもきました。数年前に一般社団法人日本オーガニックレストラン協会(JORA)を立ち上げた後は仲間も増え、同じ考え方を持つ人たちにめぐり合えたことで勇気をもらいましたが、それまでは孤独な戦いでした。今はおかげさまで、この連載も持たせていただき、読者の方々から励ましのお声もいただけるようになり、数年前とは違う状況が生まれつつあります。

 さらに力づけられたのが、農薬取締法が改正されるという動きが出てきたことです。これは画期的なことで、2020年4月以降は農薬の安全性の評価を厳格化しようということなのです。農薬が生態系に与える影響について、その安全性評価が厳しくなると同時に、評価対象も広がります。企業側は毎年、その安全性について報告する必要が生じるのです。

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