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松崎のり子「誰が貯めに金は成る」

銀行・保険・カード…もし自分が新型コロナで入院したらどうなる?必要な準備とは

文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト
銀行・保険・カード…もし自分が新型コロナで入院したらどうなる?必要な準備とはの画像1
「gettyimages」より

 70代の男性や60代の女性、ではなく、よく知る名前が死亡者にあがったことは実につらい。志村けんさんに続き、岡江久美子さんも新型コロナ肺炎で命を落とされた。岡江さんは長らくテレビで朝の顔を務め、はつらつとした印象だっただけに衝撃は大きい。まだ63歳だったという。亡くなられたみなさまのご冥福を、心よりお祈りいたします。

 志村さんも岡江さんも、コロナ発症後に容態が急変して亡くなるまでの期間が、驚くほど短かったそうだ。通常の入院と異なり、たとえ家族でも患者を直接見舞えないとも聞く。もし自分が入院したら、家族に伝えたいことも伝えられないまま永久の別れになるかもしれない。そう覚悟しなくてはならないのが、コロナ肺炎の恐ろしいところだ。

 筆者はこの前、全身麻酔をかけての手術を体験したので、もし最悪目覚めることができなかったら、家族も知らない仕事の締め切りはどうなるだろうと真剣に悩んだ(病院では可能性が1%でもあれば、そういう危険も説明してくれる)。さらには、加入している保険の詳細、ネット銀行や証券へのアクセス方法などのお金関係のことも、まるで共有されていない。家族にもわかるように情報をきちんと残しておくべきだったと反省した。

 幸いなことに万が一のことは起きず、今も無事にこうして執筆できているのだが、新型コロナの脅威に再び同じ気持ちになっている。今や、誰もが感染する可能性がある。そして、家族にも会えないまま意識が戻らなくなってしまうかもしれない。そういう事態も考えて、今のうちにできる準備はしておくべきだと思う。

最低限つくっておきたい「金融機関の一覧表」

 最初は、加入している保険の確認だ。今や感染者数の増加によって、医療施設への入院が困難になっている。そのため、軽症者は自宅療養あるいはホテル等での宿泊療養を余儀なくされているのが現状だ(ただし、自宅療養では急変に対応できず、家庭内感染を防ぐためにも、今後は宿泊療養へ移行する方針)。この事態に対応して、各保険会社は自宅や宿泊施設での療養であっても入院と同等に扱うとしている。

 つまり、自宅療養でも入院給付金の対象になるということだ。そして、考えたくはないが、むろん死亡保険金も支払われる。入院するにしろ、宿泊施設に入るにしろ、そのときは突然やってくる。保険証券の内容や保管している場所を、あらためて家族で共有しておきたい。

 さらに最悪の事態が起き、自分や家族が命を落としたら、悲しみに浸る間もなく、さまざまな手続きが否応なしにやってくる。そのひとつが相続だ。亡くなった人の財産を調べて、その額を確定させなくてはいけない。

 もしコロナ肺炎が急激に悪化したら、利用していた金融機関の情報を家族に伝える時間もないだろう。最低限でも、銀行、証券会社、クレジットカード会社の利用一覧はつくっておくべきだと思う。特に、今は通帳を発行しない銀行が増えているので、遺族が気づかない場合もあるからだ。

 もっともやっかいなのはパスワード。ネット銀行・ネット証券は当然のこと、店舗型の銀行でも、最近はスマホアプリやPCサイトで管理しているケースが増えている。紙の通帳がないとすれば、ネット上でログインしないと残高もわからない。

 金融機関によって異なるが、アプリへのログインIDとログイン用のパスワードは必ず必要になる(なかには、合言葉を求められるケースもある)。正直、契約者本人でも混乱するほどパスワード管理は大変だ。しかし、コロナでなくても、いつかは人生の最期は来るのだし、その前に認知症のプレ症状も起き得る。自分のためにもパスワードを一覧にしておくと、何かと助かるはずだ。

 むろん、気になるのはその管理だ。つくった一覧表をクラウド上に保存したり、専用のパスワード管理サービスを使ったりすることもひとつだが、それにアクセスするためのパスワードがさらに必要になる。遺族の立場に立てば、紙で残すのが一番わかりやすいだろう。とはいえ、それでは防犯面が心配だ。対策はあるだろうか。

 金融機関のパスワードはたいてい2種類ある。サイトにログインする際のパスワードと、銀行なら振り込みなど、証券会社なら買い付けや売却等の取引に使うパスワード(または暗証番号)だ。しかし、家族にとってはログインできることが先決なので、取引用のパスワードだけは記載しないでおくというのも方法だろう(そもそも銀行のアプリでは、取引には1回限りのワンタイムパスワード方式が主流になっている)。

 また、金融機関の口座番号およびIDリストとパスワードリストを別々につくるのも一案だ。2つのリストを紐づけるための合番を振っておき、異なる場所に別々に管理する。これで少しは安全度が高くなるのではないか。他人にはわからない、家族だけが通じる合言葉でもあれば、それを利用した合番などがつくれればいいのだが。

巣ごもり中に「不要なもの」は整理しておこう

 筆者も、この表づくりに取り組もうとして途中まで整理してみた。コロナ対策というよりは、仕事上の必要でつくった金融機関が膨大で、一覧にしないと絶対に忘れてしまうと思ったからだ。パスワードが正しいか、ロックされずに使えるかを試していくと、なぜか米ドルをそこそこ保有していたり、あると思っていた残高が思いのほか少額だったりと、自分でも覚えていなかった発見があった。

 コロナ不況は今後かなり厳しくなると予想され、今の収入が変わらず確保できる保証はまるでない。会社員でもうかうかしておれず、夏のボーナスだって期待薄になりつつある。表づくりの傍ら、忘れていた預金がないかしっかり探しておきたい。

 なお、銀行は休眠預金を活用するとか不稼働口座に手数料をかけるとか、あまり使っていない口座を整理してもらいたがっているので、表をつくりながら、今後も残す銀行・解約する銀行を決めていくのもいいだろう。

 自分の亡き後を想定するのは気持ちが塞ぐが、やはり家族のことを考えれば最後に残すものはシンプルなほうがいい。しばらく続きそうな巣ごもり生活だ。お金のリストをつくる、不要なものを整理する、「もし、自分がコロナにかかって入院し、家族と話せなくなったらどうなるか」と想像してみる。すると、今やるべきことが見えてくるように思う。

入院時に必要になるものとは?

 お金の話からは離れるが、同じく準備という面で書いておこう。筆者は年初に入院したばかりのため、手元に入院のしおりがある。今のうちに必要なものを荷物にまとめておこうと考え、あらためてそれを見直してみた。誰かの参考になれば幸いなので、ここに書いておくとする。

 病院からもらった冊子によれば、入院中に必要なものは以下のようなものだ。

・普段飲んでいる薬やお薬手帳 

・下着やパジャマ、上に羽織るもの

・バスタオルやタオル、洗面用品(ボディソープ、リンスインシャンプー、ティッシュ、歯ブラシ、コップ)

・室内履き ※スリッパではなく、必ず踵があるものを求められる

 むろん、これは平時の入院支度なので、コロナ入院には当てはまらないかもしれない。しかし、治療にあたって健康状態や既往症、手術歴、常備薬やアレルギーの有無は必ず聞かれると思う。医者に伝えたい健康上の注意点があるなら、メモを書いて荷物に入れておくといいだろう。

 また、病室の状況もわからないので、スマホを充電できる機器やバッテリーの予備も荷物に入れておきたい。むろん、こうした事前の準備が無駄に終わるに越したことはない。一日も早いコロナ禍収束を、ただ祈るばかりだ。

(文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト)

松崎のり子/消費経済ジャーナリスト

松崎のり子/消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。生活情報誌等の雑誌編集者として20年以上、マネー記事を担当。「貯め上手な人」「貯められない人」の家計とライフスタイルを取材・分析した経験から、貯蓄成功のポイントは貯め方よりお金の使い方にあるとの視点で、貯蓄・節約アドバイスを行う。また、節約愛好家「激★やす子」のペンネームでも活躍中。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)。
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