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六代目山口組、復活した「菱のカーテン」…当局によるさらなる厳罰化の前に続く沈黙

文=沖田臥竜/作家
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現在も使用制限がかけられている六代目山口組総本部(写真は昨年11月の模様)

 現在、六代目山口組では情報漏洩に対して徹底した防止策が敷かれている。ヤクザ取材を専門とする雑誌記者もこう話す。             

「最近はまったく情報が漏れてきません。これまで世間話程度なら口を開いてくれていた組関係者も、今は固く口を閉ざし始めました。情報が外部に漏れないようにほぼ完璧に統制されていると思われます」

 そもそも山口組については、そのシンボルとなる菱の代紋に由来して、「菱のカーテン」と表現されるほど秘密主義が貫かれ、外部に情報が漏洩しないように徹底されていた。それが、分裂問題に伴うガバナンスの脆弱化やTwitterなどによるSNSの普及により、これまででは考えられないほど、内部の情報が細かく、早く流出するようになってしまっていた。

「こうした状況を改善すべく、昨年10月に社会復帰を果たした髙山清司若頭が中心となり、情報統制が徹底されてきた。結果、表向きは静かに見える現在の六代目山口組だが、その裏でどういう動きが起こっているのか漏れ伝わってくることがほとんどなくなってきた。特に特定抗争指定暴力団に指定されていることでもわかる通り、対立する神戸山口組との間で、いつ何が起きてもおかしくない状況は続いており、ちょっとした情報漏洩が相手を利することにつながる。さらに厳罰化も進むなか、当局に付け入る隙を与えるようなことも避けなければならない。平時に比べてシビアになるのは当然で、そのために各傘下組織への指示を強化し、引き締めたのではないか」(業界関係者)

 ただでさえ、今は六代目山口組総本部をはじめとした主要組織に組事務所の使用制限がかけられており、組員らがそれらの場所に集まることがなくなった。結果、どのメディアも組員らを取材するのが極めて困難となってきている。その上で、さらなる内部的な情報統制の強化。情報が表に出てこないのは当然である。

 だが、情報が漏れようが漏れまいが、そうしたなかにあっても、当局による締め付けは確実に進んでいる。5月30日に岡山で起きた、神戸山口組系幹部が六代目山口組系幹部に拳銃で襲撃された事件を受け、警戒区域が追加される見込みのようだ。【参考記事「 六代目山口組系幹部が警察の前で銃撃」

 新たに警戒区域に指定されると見られているのが、兵庫県南あわじ市、岡山県岡山市、愛媛県四国中央市、鳥取県米子市、島根県松江市、愛知県あま市。主に岡山の銃撃事件の当事者組織やその傘下組織が関連施設を構えるエリアを対象にしているが、あま市については、六代目山口組幹部が同市内にある関連施設を主に利用していることが理由のようだ。

 まず兵庫県、愛知県以外のそれぞれの県で、六代目山口組、神戸山口組を特定抗争指定暴力団に指定し(兵庫県、愛知県は指定済み)、前記した市を警戒区域に設定することになる。警戒区域内では、組員が複数集まることや事務所の使用などが禁止され、違反すれば逮捕されるという厳しい処分が課せられる。これについて、ヤクザ事情に詳しい専門家はこのように指摘している。

「今回、岡山での銃撃事件があったからこそ、当局は両組織による抗争エリアが拡大したと解釈し、警戒区域を追加するわけです。逆にいえば、六代目山口組サイドでは、こうなることはわかっていながらも、あえて仕掛けたともいえます。つまりは、いくら当局の取り締まりが進もうが、実力行使で分裂問題を早期に解決させるという強い意志の現れと見てとれるのではないでしょうか」

 対する神戸山口組サイドの動向はどうなのか。

「現在のところ、岡山の銃撃事件の報復に動こうとしているような不穏な空気は伝わってきていない。ただこればかりは、本当にわからない。静寂が続いているかのように見えて、突然起きるのが抗争事件だ。

 それよりも、最近その動向が気になるのが絆會(旧称・任侠山口組)ではないか。絆會は特定抗争指定暴力団にも指定されておらず、一時は解散説も流れたことがあった。絆會への名称変更後、いまだに組織の代紋も発表されていない。今後、どのような活動形態をとっていくのか、現在のところまったく聞こえてこない。一定の勢力を誇るだけに、沈黙を続ける彼らの動きは、分裂問題の動向とも無関係とはいえないはずだ」(前出の業界関係者)

 当局による厳罰化に反比例するかのように情報が出にくくなり、表面上は静かになっていく山口組周辺。「菱のカーテン」の向こうでなんらかの動きが起きている可能性は否定できないが、今後を予想するのは困難な状態が続いている。

(文=沖田臥竜/作家)

沖田臥竜/作家

沖田臥竜/作家

作家。2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)や小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)はドラマ化もされ話題に。最新刊は『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』(同)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

Twitter:@pinlkiai

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