スクランブルスクエア、フクラス…東急が仕掛ける渋谷再開発の狙いと落とし穴の画像1
渋谷スクランブルスクエア(「Wikipedia」より)

 100年に一度と言われる大規模再開発の真っ只中である「渋谷」。2019年に複合施設の「渋谷スクランブルスクエア」と「渋谷フクラス」がオープンし、「パルコ」もリニューアルされた。

 大変貌を遂げつつある渋谷は、どのような街になるのか。鉄道ライター・都市交通史研究家の枝久保達也氏に話を聞いた。

渋谷再開発の2つのポイント

 常に新しいビルが建設されている東京だが、ここ数年は東京オリンピック・パラリンピックの開催を前に、戦後最大規模の再開発ラッシュに沸いている。

 その契機となったのが、02年の小泉純一郎政権時に成立した「都市再生特別措置法」だ。同法によって認定を受けた開発案件は国の重要開発案件と位置付けられ、手続きの短縮化や各種補助など優遇制度の適用、都市計画規制の緩和措置などにより、大規模な都市開発が可能となった。都内でもいくつかのエリアが選定され、渋谷もそのひとつとなっている。

「渋谷の再開発の大きな目的は、直通運転の拡大などを考慮した鉄道設備の再編です。08年の東京メトロ副都心線と東急東横線の相互直通運転の開始により東横線ホームが地下化し、以前の東横線渋谷駅ホーム跡地をテコにした再開発が可能となりました」(枝久保氏)

 このような経緯から、JRや東京メトロなど複数の路線が乗り入れている渋谷駅の再開発を東急が主導するようになったという。

「渋谷の再開発には2つのポイントがあります。ひとつは、00年代以降『ビットバレー』と称されたIT系企業などの進出に対して不足していたオフィス需要を超高層ビルを建設することで解消し、先進的な生活文化などの情報発信拠点を形成することです」(同)

 しかし、皮肉なことに、コロナ禍で企業のテレワークが普及したことで、今やオフィスの存在価値が見直され始めている。東急が手がけた高層ビルの「渋谷ストリーム」に居を構えるグーグル日本法人では、本国のCEOが20年いっぱいはテレワークを考えている旨を表明しており、オフィスの活用度が下がることは必至だ。

 また、同じく渋谷にオフィスを置くGMOグループは緊急事態宣言の発令前から完全テレワークを実施し、素早い対応が注目を集めた。今後もIT企業を中心に日本でもテレワークが普及することが予想されるため、オフィスビルの建設ラッシュは“空振り”に終わる可能性すらある。

「もうひとつのポイントは、長年の課題解消です。渋谷の街はJR線や国道246号線などにより東西南北に分断されており、地形的に谷底ということもあって『回遊しづらい街』と言われてきました。また、駅構内も各鉄道会社による移設や増改築によって複雑化しています。そこで、今回の再開発では、分断された街をつなぐために駅周辺に歩行者デッキを設置し、立体的な歩行者動線『アーバン・コア』を整備しました。にぎわいと回遊性を持たせ、安全・安心で歩いて楽しい都市空間を形成しようという狙いです」(同)

渋谷は「水平」と「垂直」の両面に広がる街へ

 現時点で、渋谷スクランブルスクエアの中央棟、西棟、桜丘口地区の開発を除いて、ビル建設の計画は概ね形になっている。

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